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前回のご来店時に「このまま使い続けるのはまずいのでは…」とお伝えしたことから、オーバーホールをご依頼頂きました。
しかし、自覚症状はなし。まあそんなものです。人間の身体でも、死ぬ寸前になってみないと気づかない人もいます。普段の健康診断が大切です。気づかないところは、他の人にみてもらうのがいいと思います。
また、たまにあるのは「点検には出してました」とおっしゃるが、自転車はメンテナンス、つまり維持管理されていないケース。これは、点検に出したお店のクセによって、壊れない限り手を付けないタイプだったことが推測されます。たしかに、実際に壊れていない、つまり一般的な「走行可能である限りは壊れていない」という判断へ忖度した場合、走行不能になるまで手を付けないのも方法ですが、ぼくは壊れそうな箇所にはあらかじめ手をいれる主義。そうじゃないと、乗っている人が困るからです。よって、点検にはだすが、何も交換されず、調整だけされる車両が発生します。
原因を探るためにまずは俯瞰し、お話を伺いました。購入されてから数年間にわたって、使用される一方では何もしていない状態でしたので、チェーンもリヤスプロケットもサビサビ。チェーンは伸び切ってもいました。
ホイールの回転を保つためのベアリングは、4つのうち1つがダメになっていました。これは個体差だろうと思います。ベアリングを無名メーカーから、有名国産メーカーかつ接触式の防水性最強のシール対応へ交換しました。ハブもBBも、回転の軽さ重視は失敗やトラブルを招きます。何千何万回転するならまだしも、自転車は大したことはありません。ロードバイクで時速60キロ出ていたとしても、ハブはたったの480rpmですし、BBはケイデンスそのままです。ハブ抵抗が1%増えても、全体では0.05〜0.1%くらいの増加でしかありません。この場合のベアリング交換は、回転抵抗軽減のためではなく、回転運動の維持のためです。つまり、安全走行のためであり、走行そのものを継続可能にするためです。回転抵抗の軽減を狙う場合、逆の効果としては耐久性は悪くなり、維持管理の手間も増します。
この機会に溜め込んだものを返していきましょうということでお話したところ、ご了承頂きました。今回は消耗品の交換と合わせて全体のフルオーバーホールを承りました。
実施内容:ワイヤ交換、ブレーキオイル交換、ブラケットカバー交換、チェーン交換、リヤスプロケット交換、タイヤ・チューブ交換、ブレーキパッド交換、バーテープ交換、全パーツ組み直しなど
費用目安:約8万円








持ち込みメンテナンスのご依頼もお待ちしております
当店はメリダをメインに扱っておりますが、それ以外のあらゆるメーカーの自転車について点検やメンテナンスんもご依頼を承ります。
購入経路に関しても限定しておりません。
ぼくは法律上の自転車である限りにおいてはできることはしますし、会話は常に歓迎します。 ただ、快く課金して頂ける方へのサービスはより良くなるよう努力しますし、出来ないことはその都度伝えています。 「通販だからダメ」などのフィルターを設けるつもりもありません。 常に歓迎ですが、「常に歓迎」は「黙ってやる」とは異なります。あくまでもぼくとお客さんがお互いに合意した内容に対してサービスし、対価を頂きます。 やらない事を予め決めていませんし、フィルターにかけて通った人びとだけを相手に会話したいという意図もありません。
「持ち込みお断り」「通販で買った自転車はお断り」などと掲げる他店様を批判するような意図はありません。ただ、ぼくにはぼくの判断があり、またぼくらのようなお店は気に入った事だけをやり、面倒なことは避ける会話するのが難しい人びとだと思われてしまったり、それを常識的に振る舞われるならば、それは意に反するので表明したまでです。よろしくお願いします。
自覚症状がない場合もある
人間の体と同じです。自覚症状がある場合と、ない場合があります。ないといっても、実際にないのではなく、あるけれど感じなかったという方が正しい場合が多いと思います。ですから、第三者に自転車をみてもらう機会(点検)を定期的に受ける必要があるでしょう。また、身体と同じように、検診と検診の間の期間にどのように暮らしていたかとか、どのように過ごしていたか、何があったのかを伝える必要があります。
「私はきっと大丈夫」
「気にしているし、問題ない」
と思うお気持ちは、ぼくもよくわかります。しかし、客観性と冷静さを伴った第三者の目を挟んでおくことは大切だと思います。
身体であれば、診察→精密検査→治療(入院を伴う場合もある)となると思います。自転車でも同じように、点検→オーバーホールを含む分解→修理という段階を経て、正常な状態に近づけます。よくある誤解としては、「点検では自転車は直らない」ということでしょう。点検は、診察に過ぎません。大切なのは、その先に実際に手を動かすことです。人間とは異なり、自己治癒は期待できませんので、使い続ければいつか壊れてしまいます。
自覚症状がないケースもあるので、定期的に検診を受け、怪しい箇所は分解するなどし、要治療箇所が見つかった場合には直していきます。
それぞれの個体で違う症状
人間の身体と同じく、自転車も各個体によって壊れ方は異なります。他の人に起きたことが自分に起きるは限りませんし、また逆も言えます。最近はなにか起きた際に「SNSに聞く」という方もみますが、大切なことは「店に行って聞いて、修理を依頼する」ということだと思います。これまでの話を読んでいただいたように、大切なことは「直ったという結果」だけではなく、「故障等の原因と突き止めるまでのプロセス」だとおわかりかと思います。単に直るだけでは、次の故障を予防する効果を上げることができません。不調や故障のきっかけ、原因、対処までトレースすることで、同じ様なトラブルが次に起きることを予防していきます。それを繰り返すことで、多くの箇所に安心できる保守管理を実し、「パンク以外のトラブルはまず起きない」だろうという万全に近い状態を目指しましょう!
お気軽にご相談ください!