値引きできない自転車店がある理由

当店は基本的に値引き販売していません。また、私の知っているお店でも同じようにしているお店はあります。

値引きは企業努力のように言うのはわかりません。あれは単なる手抜きではないでしょうか?サービス業を経験せずとも、営業職の方ならおわかり頂けるはずです。

ちなみに、自転車屋さんは単価の安いものや利益を削ってたくさん売ることをすると、組む時間が無くなって手抜きせざるを得なくなります。これは必然です。それを寝ずにやって手抜きしませんというのはブラック企業みたいなもん(というかそのもの)ですが、某企業に勤めていた際、定時で帰るには一台を15分くらいで組まないと消化できない事態は経験したことがあります。長くても30分です。

そのくらいでやれるだろ!という声もあろうかと思いますが、そこはどれだけ慎重にやるかというところです。乗る人を思い浮かべる余裕など無く、ただただこなすのみ。そうやって納車される自転車に乗りたいと思うかどうか。急げばミスする確率は上がりますし、それぞれの人に合わせた組み方はできないでしょう。単なる作業です。そういった作業に手一杯になりますと、新たな知識を身に着けたり、面白いことをする時間はほぼなくなります。余裕がない状態ですから、ご自身のお仕事でもわかりやすいと思います。

日本ではアフターケアやキュレーションにプライシングしにくい(し慣れてない)ので、単価を下げたり値引きすると必然的にサービスの質が破綻して、内部崩壊等の影響が客先におよび、離職率も上がったりもします。給料が安いのもそれですよね。

値引き販売は短期的に考えると顧客にメリットがあるようですが、そういう背景を生みます。確実にあります。ゆえ、当店では通常は基本的にいたしておりません。実際、そういった経路や理由から購入された結果として不利益を被った実例は、当店へも定期的にあります。

通販で売るのに比べたら100倍マシにも思えますが、程度問題ですね…

車体の単価を下げて売る場合には回転数と修理工賃で稼ごうとします。結果としてPB商品が増えたり、要らぬパンク修理剤を入れることを強く推されたりもする場合があります。あるいは、我々がまず使わないような粗悪なパーツを使う店もあります。タイヤとチューブの交換に5000円支払ったとしても、2−3ヶ月でひび割れて劣化するタイヤを使うのか、信頼できるブランドのタイヤを使うのかでは粗利がまるで違ってきます。しかし、それはユーザーに伝えられているのでしょうか?伝えられたとしてどちらを選択するかは自由です。

タイヤチューブ交換やパンク修理はその典型で、支払ってもすぐに劣化するタイヤを使われたりするので、自転車やそれにまつわるサービスに対する価値観はどんどん低下し、「1万円で十分だろ」の世界が生まれました。これは、サービスを提供する側が安易に生んだものでもあると思います。

サービスを受ける目的はなにか?どんなサービスを受けたいと願うのか?あるいはどんなサービスをこの先の時代へ残したいと思うのか?を考えて買うものと場所を選ぶ気持ちは必要だと思います。善悪ではないですし、いずれも尊重しますが、違った結果と未来にはなりえます。

全てにおいていずれかしか利用しないとか、するとか、ゼロヒャクでもないわけで、自己投資の何割をどこへ向けるかの話だと考えています。

他は値引きしてるし、その上で頑張ればいいじゃんという世界は日本ではよくありますが、結果的にできあがったのは今の日本なので、これでいいなら良いんですけど…ということですよね。