自分で発電するオートマチック変速が登場

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数日前に発表された2つのテクノロジー

今から数日前、
・新型XTR
・Q’AUTO(クオート)
という2つの新しいテクノロジーを搭載したコンポーネントがシマノから発表されました。

前者はMTBジャンルにおける最高峰レース向けコンポーネントの最新型。MTB好きな方や最新コンポが好きな方はこちらに注目されていました。一方、後者は完全に新しい部品です。

「Q’AUTO(クオート)」は、学習機能を持つ、充電いらずのオート変速システムです。

CUESというコンポーネントが普及価格帯でリリースされていますが、これはCueが語源だろうと思います。シマノはスポーツ自転車のコンポーネントを開発し、販売する企業ですから、よりよいサイクリングを実現するために変速を速く、快適に、ストレスなく実現するために尽くしてきました。しかし、そのシマノがシマノそのものをアピールするのではなく、ユーザーが行うサイクリングをCueする。Cueは何かを示唆する、あるいはきっかけにする、あるいは指し示すというような意味で、自由なサイクリングをするためのコンポーネントは全面に出ず、下支えるするような意味合いを感じます。

Q’AUTOのQはこのCUESのCueのことであり、CUESのATバージョンだという意味が込められているように思えます。

変速機とレバーから解放される

Q’AUTOを搭載した自転車には、ハンドルバーの右側にリヤ用の変速ボタンが用意されます。これはユーザーによる変速を学習させるためのデバイスでもあり、任意のタイミングで自由に変速を行うことも可能な仕組みになっています。すでに販売されている電動変速システムのように、ボタンを押して変速を行うものです。Q’AUTOはその変速を学習し、6,500以上のアルゴリズムパターンから適切なものを自動で選択。ユーザーに変速ボタンを操作させることなく、完全に自動で変速を行うことができるものです。

これによって、ユーザーはペダルを漕ぐことに集中できますし、変速という少々ややこしい技術を必要とするシステムをより容易に使用することが可能になります。

実は変速を使うのが上手な人は、そうでない人よりも、
・スムーズな加速
・体力を効率よく温存
・機械の寿命を伸ばす
などのするために変速機を使って、考えて走っています。

例えば、10枚のギアがあるのに、2枚しか使わない人と、5枚使う人では、ギア歯(リヤスプロケット)にかける負担が違ってきます。使うギアは減るので、偏摩耗してしまうわけです。また、無理して重たいギアを踏んでしまったり、軽いギアを使い続けてしまうケースも見られます。それはユーザーの体力を一層消耗させます。自動で変速を行うことで、そうしたムダを減らし、より効率の良いサイクリングを実現することができます。しかし、ユーザー自身はそんなことを考える必要はないわけです。Q’AUTOが自動的にそれを行います。

テクノロジーでサイクリングを前に進めるのは、やはりシマノ

シマノはスポーツ自転車用コンポーネントメーカーとして、XTRというシマノの精神の中心を担う製品と、そうしたコンポーネントのことを考えずに楽しめる製品を同時にリリースしたことになります。

スポーツ自転車の変速システムを上手に使うことは、一度覚えてしまえばそんなに難しいことはありませんし、誰でもやる気になればできることです。しかし、多くの人は自転車のコンポーネントそのものに興味があるわけではありません笑。そんなことをしなくて良いなら、覚えずに乗りたいはずです。

自転車好きの人はその部分が好きで、機械や道具が好きですが、そもそもサイクリングはモノありきではなく、コトからはじまるものだと思います。クルマでも同じであるように、変速動作をクルマや自転車に乗ることの一部として欠かせないと思う人は多くありません笑

スポーツカーが好きな人にとっては欠かせない変速動作を楽しむということは、ただ自転車に乗ることを楽しみたい人にとっては余計なことであり、面倒なことなんですよね。自転車で、自分の力で、風や匂いを感じて、自由に移動できるのが自転車の魅力だと思います。Q’AUTOはそうしたサイクリングを実現する新しい挑戦的な製品であり、シマノらしさの詰まった魅力ある製品だと感じました。

今後、Q’AUTOを搭載した自転車が登場してくることでしょう。どんな自転車が登場し、私たちのサイクリングをCueしてくれるのか、とても楽しみです。