「モペット」のハンドル根元が折れて転倒

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ハンドルステムがポッキリ

こんなニュースがありました。

「モペット」のハンドル根元が折れて転倒、顔面骨折した女性が製造販売元に損害賠償請求へ

「電動のペダル付きバイクで走行中、ハンドルと本体をつなぐ部品が折れて転倒し、顔面骨折などのケガを負ったとして、50歳代の女性が近く、バイクの製造・販売会社「グラフィット」(和歌山市)を相手取り、製造物責任法に基づいて約2900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こすことがわかった。」

上のニュースリンク先を開いていただくと、ハンドルステムが折損している写真がでてきます。それを見ていただくとわかりますが、「見事に破断しています」ので、これは恐らく、材料や部材に問題があったか、あるいは強度設計に問題があったのかのいずれかである可能性は高いのでは?と思っています。ハンドルステムが折損してしまうと大変な事故になりますから、原告側の女性が後遺症を負ったり、死亡するなどしなくて良かったと思います。

「女性は地元の消費者センターに事故を報告。国民生活センターが同11月に作成した報告書は「ハンドルポストが長く、減速時の荷重で根元に大きな力がかかりやすい構造だった」とした上で、根元部分が折れた原因は、繰り返し力がかけられたことによる「疲労破壊」だったと分析した。」

ハンドルポストの長さに関しては、小径車では軒並み長くなっています。なので、相対的な長いという言葉だけで危険だとは言い切れませんが、どうやら途中で伸ばすことができるようにできているようで、これは確かに余計な力が掛かりそうだとは思います。ただ、伸ばせば力が掛かりますから、それに応じて設計しておけば良いだけとは言えます。破断面の写真を見ると、疲労で破断したというのは考えにくいように思います…。

まだ裁判は始まっていませんし、事故の原因は断定されていません。また、ぼくはこの製品を買うべきではないと言っているわけではありません。しかし、自分でどの製品を買うか選ぶ事はできますし、買うのは自分自身です。どんな製品を買う場合にも言えますが、「きっと大丈夫だろう」と考えるか、「これは大丈夫だ」とある程度の確信をともなって考えるかは違うと思います。自転車は公道で他の利用者に混じって利用する製品ですから、自分以外の人々に対して危険が及ばないかどうかを十二分に考慮しておくことは大切だと思います。

ただ、おかしいな?と思うことはあります。20年5月に購入し、事故を起こす21年6月まで約1年間あります。そして、事故を起こしたのは「会社の敷地内でバッテリー走行中」となっています。公道ではなく、私有地内で事故を起こしたということになっています。弁護士の提供した画像を見ると、ナンバーが取り付けられている様子がありません。これはなぜなのでしょう?なぜ、ナンバー切り替えが購入理由であろう製品を使用していたにも関わらず、事故車両の写真にはナンバーが取り付けられた様子が見当たらないのか?という点です。ぼくにはその点が解せません。もちろん、今回の事故の原因や訴状の内容との関係はありませんが、なぜそのような走行状態で利用し続けていたのだろう?ということが理解できないわけです。この場合、約一年間は重たい自転車として利用していたことになります。30万円を支払い、19.4kgもある「自転車」を約1年間も利用するものでしょうか?…通常であれば、購入後すぐに区役所へ行き、ナンバー取得し、自賠責保険への加入も行うだろうと思われます。事故後、ナンバーを外した可能性はありますが、まあ考えにくいですよね。一つの可能性として、すでにお察しのことかと思いますが、この方はナンバーを取得せずに公道でバッテリー走行をしていたという可能性も考えうるということです。重ねて申し上げますが、これは事故原因とは関係ありません。


グラフィットは、ナンバーを切り替えることでモペットと自転車とを行ったり来たりできるという話題の製品として登場しました。この切り替えてOKということ自体、グラフィットという製品ありきで許可されたものです。

glafitのウェブサイトはこちら

ナンバーを切り替えて便利に?利用できるというメリットはあるものの、この製品に限らずですが、最近販売が開始された異業種参入系のモペットやEバイクの類いには、合法非合法に関わらず、「この設計で大丈夫なのかな?…」「この価格でこのクオリティか…」という感想を感じることは多いです。ぼくらのように自転車を長くみていたり、知っていたり、あるいは比較的経験豊富な専門知を有する人間からすると、「売れるなら何でも売っちゃうんだなあ」という感想をいだきます。

「知らない人は買ってしまうだろう」とは言われるものの、もはや紙ソースだけしかない時代ではなく、スマホ所有率は100%近いわけで、ちょっと調べて際にどのくらい怪しさを察することができるかは大切なことだと思います。また、やはりリアル店舗で買うということがこれまで以上に本当に大事になっているのだと思います。ぼくは、リアル店舗で販売している自転車を安いネットストアで買うということも、止めたほうが良いと思います。なぜリアル店舗で販売しないのか、あるいはぼくらが「売らせてほしい」と言わないのか、それは製品から計り知れない心配を感じるからであり、ぼくらが自ら乗って構わないと思えないからです。


追記

あとから見つけたのですが、2019年にも同じメーカーのモペットでハンドルステムの折損が発生しているんですね。もちろん、原因が何なのかわかりませんが、この場所が折れることがあってはならないわけで、今回の件との関連性を推察せざるを得ないという気がします。

とりあえず自己防衛として、このメーカーのモペットに乗るのは止めたほうが良い気がしますし、メーカー側からは「安全が確認できるまで利用を止めてもらう」ように告知したほうが良い気がしますね。