[ 動画 ] 新型アルテグラ R8100 Di2を使ってみた

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使わないとわからない

何事も百聞は一見にしかずであって、自己の経験は自分で積み上げるしかないわけで、売り上げのうちの一定の割合を自己投資に充てないといけないのですね。それは楽しいんですけど、苦しみでもあります笑。いやはや、自転車屋は古い自転車だけ乗っているわけにいかんのです。

今回は105 Di2に注目が集まっているわけで、使うべきは105なのかも知れないんですが、ぼくが使いたかったのはアルテグラなのですね。これは105を否定することではないわけですが、上位機種を使うことは必要だと思っています。これが10年くらい前までならデュラエースだったんですが、Di2登場以降、アルテグラでも用を足すようになってきたと思います。特にアルテグラDi2は2世代に渡って使ってきたので、それがどのように変わったのか気になっています。105Di2に関しては、なんとなく想像がつくのですよ。実は。

Di2登場以降というのは、直接的なDi2という仕組みが原因にあるのではなく、つまり「モーターだから全部一緒でしょ」ではなく、Di2の登場によってメカニカルトレンドが変化し、それによってアルテグラでの満足度が上がったのだろうと思います。実際、デュラエースとアルテグラはには明確な相違があり、使ってみれば違うことに気が付きます。それはそんなに深く触らなくても、一瞬でわかる差もあります。シマノは見事にその差を表現しているのです。

使った印象は?

はっきり言うとよかったです。動きは先代よりも速いし、動きも正確です。感覚的には洗練されたという感じがしました。まあ、Di2が持つジレンマみたいなものをここで書いてもしかたがないので書きませんが、その中にあって、シマノがDi2をどういう方向へ進化、進歩させていくのかということが理解できる製品だと思いました。それは105をDi2化したことも関連していると思いました。

105がDi2化したことにはさまざまなネガティブな影響もあるでしょう。動画で見る限り、あるいは外形上をみると、ほぼR8000のDi2のイメージなのだと思います。この機会にR8000世代のDi2性能を一つ下ろしてきたことにはチャレンジがあるだろうと思います。

STIレバーの形を眺めている時にはそう思わなかったのですが、実際に走って、握ってみると「んん??」と思い出したのは7800/6600/5600シリーズでした。シフトワイヤが目の前にニュインと出ている最後の世代ですね。あのシフトワイヤは未来からみれば不評を得たわけですが、一方では7800シリーズの完成度の高さを失ってしまった7900シリーズ以降についてはのネガティブな評価もありました。いまだに、7800シリーズは機械式コンポの最高傑作だったという人もいます。ST-R8170の先端?頭?の部分を軽く握り込んで走っていると、7800シリーズでのそれを思い出したのです。

それぞれの指のかかる位置に対して配慮した形状は、あの時のそれよりも感触が優れており、レバーフードの素材や表面凹凸も好感触を感じました。形状が前後に長くなったといいわれますが、はっきり言ってまったく気になりませんでした。つまり、遠くなったとは思えませんでした。実際には長くなり、遠くなったはずだと思われるのかも知れませんが、ぼくはそれを感じませんでした。105 Di2の場合には先端を握れないとは思いませんが、やはり太さを感じます(触れたことはあります)。

ロードバイクの乗り方の中でも、レーシーな分野になりますと、先端を握って低いフォームを確保することがあり、その場合にはST-R8170のほうが良いと感じるだろうと思います。ただ、のんびりとサイクリングをするようなケースではST-R7170でも満足をいただけるでしょう。

セミワイヤレス

今回のSTIレバーはワイヤレス接続をすることが可能になり、バッテリーはRディレイラーとFデイレイラーのみと接続されていれば良くなりました。しかし、変わらず優先で接続することも可能です。それはST-R8070を利用する場合の互換性確保のみならず、有線によるメリットを選択する場合にも利用が可能です。このあたりの配線に関しては伝わりにくいので省略します。有線接続するメリットとして考えうるのは、ワイヤレスで接続されている状態ではSTIレバーのファームウェアアップデートができませんので、常時有線で接続することによってアップデートが容易になります。とはいえ、そう頻繁に必要ではありませんね。また、確実な動作という意味においては、有線化ということもメリットはあるのだと思います。ただ、シマノのコメントによれば現世代のDi2の動作が高速化した理由はワイヤレス化にあるということですから、有線化によって高速動作が削がれることになるのでしょうか?わかりません。新しいEワイヤ用のジャンクションBは単に接続機能のみであり、おそらくRディレイラーの役割は変わらないと思うので動作速度に変化はないのではないでしょうか。

インナートップが使えます

今回のRD-R8150ではインナートップが使えるようになりました。しかし、RD-R9150では使えません。軽量化のためだそうですけど、ほんとうなのでしょうか…。本来的にはやはり使うべきではないと思うので、E-TUBEアプリの中でインナートップ側2枚を使わせない設定にもできることをぼくは願います。だって、使いませんし、使わなくても問題ないからですね。すべて使えることでより広い速度域をカバーできるという書き方の文章もあるのですが、そもそもアウターとインナーはクロスしているわけで、速度域に影響があるとは思えませんから、使えない分には問題ないと思います。ロー側は34Tまで使用可能で、11-30、11-34という2つのパターンが用意されています。50-34と組み合わせれば…という事も言えますが、むしろ、52-36を多くの人が使いやすくなったとも言えます。その意味では12-34があるといいなとぼくは思います。アウターが52Tならトップギアは12Tあれば十分ですし、間に一枚増やせます。しかし、スプロケの最小が30Tとは時代は変わりましたね笑。

小型化と高速化

先代のFD-R8050よりふたまわりくらいは小さくなりました。105Di2のFD-7150は、まさにFD-R8050と似ています。ただ、大きさなんて走ってしまえば忘れます笑。むしろ、モーターの動きの速さ、質、感触がよくなったことのほうが大きなメリットだと思います。小さくなっただけでなく設計を変えたことが主な注目点です。つまり、デュラエースとアルテグラは動作の質が近く、FD-R7150(105 Di2)はFD-R8050と同じなので上位2機種と速度に明確な差が出るだろうことがわかります。ゆえ、フロント変速を多くするような方の場合、105 Di2よりもアルテグラ Di2の方がメリットを感じると思います。FD-R8150はFD-R9050(旧型デュラエース)と比較すると1.5倍ほど変速が速くなったということです。なお、たまに6850(2つ前のアルテグラDi2)を触ってみる機会を得ますと、”ニュ、ニューン”とあまりにもゆっくりしているので「こんなだったっけ…」と驚いてしまいます。クルマでもセミATが出た当初と、今とでぜんぜん違うように、どんどん進化しています。

混ぜてもOK

12SのDi2システムは混ぜても構いません。動作は保証されています。ただ、どの部分をどのように組み合わせると、どんなメリットが現れるのかはまだわからないので、それは個別にシマノへ聞くなど、あるいは情報が充実してくるのを待つほうが良いと思います。しかし、ぼくはそんなに悩む必要もないのではないかと思います。コスト的に無理して上を狙う必要もないので、身の丈にあったモデルを選ぶほうが良いと思います。その方がわかりやすいです。

月刊サイクルスポーツ11月号のDi2特集では「デュラエースは別格である」という言い方が繰り返しあり、たいへん印象深いわけですが、まあそれはいつもそうです。いつの時代もデュラエースはデュラエースだと言われますし、書かれます。そういうものです。だからデュラエースなのです。でもぼくは、105とアルテグラとの差のほうが、アルテグラとデュラエースとの差より大きいのではないかと思いました。105との価格差は7万円。もし出せるなら、出しておいたほうが良いと思います。

かんたんに言えば、こんな選び方で良いんじゃないでしょうか。
 イージーに(な気分で)サイクリングをしたい:105 Di2
 レース、トレーニングやそれに近い乗り方(感性をもつ)をしたい:アルテグラ Di2
 フラッグシップを使いたい、使うべきレーサー:デュラエース Di2

どうぞ、見に来て下さい

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