GARMINという会社

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ガーミンのイメージ

ガーミンは高性能なGPSハンドヘルド機器を開発するメーカーです。多くのユーザーに支持され、その地位は自転車分野においても確固たるものとなりました。むしろ、いくつかのメーカーはガーミン製品を明確に模倣し、訴えられたりし、その利点をコスト安に誘導する場合が多いでしょう。その製品発売サイクルは早いと言われるものの、ライバルメーカーとの比較ではそれほど目立つものではなく、そのサポートに関しても私は相応の価値を保っていると思います。いくらか悪評はあるものの、依然としてリーディングカンパニーであり、その独創性は発揮されています。しかし、今回私はある製品によって、ガーミンという会社を更に深く知るに至りました。

リアビューレーダーの開発

ガーミン製品の中でVARIAというのがリアビューレーダーという商品群です。後方から接近する自動車やオートバイ、あるいは自転車を検知し、その台数や接近する様子を知らせてくれます。初めて発売されたのは2015年くらいなので、現在発売されている製品ですでにいくつかの世代を経ており、それなりに続いているわけですが、いまだにハンドルやフレームに自転車用ミラーを取り付ける方も多く、周りに使っている人も極めて少ないため、日本ではまだ認知されていない製品の一つです。

しかし、私は使っています。はっきり言って優秀ですし、有用です。むしろ、自転車用ミラーの視認性の悪さからほぼ無であると思います。あれを見るなら、前方に集中しているほうがよいでしょう。

車道を走る際のストレスが減る

「こんなに違うとは思わなかった」それが最初の感想でした。そもそも、自動車をミリ波レーダーで捉えるということ自体、それほど信用していなかったのですが、その正確性に驚き、機能性に感動しました。

遠くまで見渡せるような地域の場合、自動車が発するロードノイズ(走行時に発するタイヤと路面との摩擦音)やエンジン音はかなり遠くまで届きます。その場合、音の指向性を把握しにくく、対向車なのか、追走車なのかわからないことは少なくありません。

また、トンネル内ではよりわかりにくい上に、トンネル内が暗いがゆえ、路面状況もわかりにくく、後方を振り返りなどしようものなら、対向からくる自動車が気になってしまうなど、慌ててしまう場面を体感したことがあるかも知れません。

そのような際、GARMIN VARIAレーダーは後方から迫る最大で8台の後方から捉え、ライダーに教えます。表示はGARMIN EDGEデバイスやスマホを使用できます。最大140m後方から接近する車両を検知し、Edge画面及びライト点滅パターンの変化で、ライダーとドライバー双方に知らせます。

やや大きさは目立ちますが、このRTL515は尾灯と一体になっていることから、これ一つで多くの機能を満たすことができ、走行時の安全性のみならず、サイクリストに安心を感じさせる素晴らしい製品です。ロードバイクでもこのVARIAレーダーは素晴らしく機能します。ある程度の都市部で乗る際にも機能します。多くの事故はドライバーやライダーによる前方不注意から発生するため、視認性にたいへん劣る自転車用ミラーの類は無であり、むしろ事故の原因にさえなる可能性を生むのに対して、ガーミンのリアビューレーダーは前方への集中を解くこと無く、後方を監視してくれる大変有意義で心強いツールだと思います。

特にEバイクには必須と言ってもいいくらいで、自動車の交通量が少ない場合には、道路が空いているので自動車側と速度差が大きい場合もあり、危険を感じる場面もあろうと思います。Eバイクはのんびり乗りたいものですから、こういうアイテムに投資をすることで、より走りの質を高めるのは素晴らしいことかと思います。

ライトを一体化するのは誰でも思いつく

後方に向けて設置するのでリアライトと一体化するというアイデアはごく自然に生まれるでしょう。しかし、そのライトをどういう形状と性能にするかという点においてはガーミンはすばらしい選択をしています。また、その選択をすることが出来るがゆえ、このリアビューレーダーという特別な製品を開発するに至ったのであろうとも推測できます。

目的にフォーカスした形状

通常、リアライトはLEDの数が多く、またその配置が製品全体に及びます。360度どこからでも視認できるということをカタログでうたっている製品も少なくなく、LEDの数は多いほうが喜ばれるとも言えそうです。こういう製品しかなければ、まるでその開発手法や目的は正しく根拠を持つように思うわけですし、私もそのことに何ら疑問を抱いてはいませんでした。

しかし、GARMINのVARIA RTL515を使用してからその認識は大きく変化しました。

この製品は視認性も220度としているものの、その光は真後ろへと集約されます。真後ろまっすぐではなく、ある程度の範囲を伴いますが、その範囲からリアライトを視認する場合には、鋭く突き刺さるように発光します。これは、これまで見た多くのリアライト製品にはなかった特徴で、私も初めて見るものでした。リアライトにも関わらず、視界に残像が残るほど影響した経験はなく、思わず「おお」と声を上げてしまうほどでした。それゆえ、後方に自転車が続くような状況では”プロトンモード”というものを備えており、後方へ一定の配慮を施すことも可能になっています。

巷にあふれているような、360度視認を謳う製品は、たしかに良さそうでありながらも、自らにアタックしてくる可能性としてもっとも致命的である後方からのクルマに対してフォーカスできていません。どこからでも見えることは一見優位に感じますが、私はそれは間違いだと思います。死ぬことを避けるべきで、そのための製品がVARIAだとすれば、他のリアライトはファッション性を高めたものに見えてきます。

「とにかく後方から迫る物体に注意をうながし、その物体から身を守ること」
これに必要な機能、それはマイクロ波によるレーダー機能、そしてリアライトだと分析した結果の製品だとわかります。つまり、リアライトを一体化したのではなく、そもそもライトも大事な機能なのだとわかります。

どの製品でも、買って使ってみないことにはその本質はわかりません。レビューを見るにしても、ネット上やYoutubeにあるような広告料目当てのテキストに本質は書かれていません。ですから、私もこの製品を実際に自分で使ってみるまでは、この事に気が付かず、単にライトがつくかつかないかなのであろうと思っていたわけですし、実際、ガーミンジャパンの営業さんと話しても、それは変わらないものでしたから、”買うしかなかった”と言って良いでしょう笑。

ガーミンがガーミンである理由はこれか

ガーミンはその精度や性能が優れているということはあるものの、多くのジャンルをGPSにより開拓しました。なぜそのようなことが可能だったのかと考えれば、それは開発者の考えがより明確で、実際にそのジャンルでプレイ(遊んで)おり、知己に富み、その結果としてライバルよりも明確に分析できていたからに他なりませんし、自分たちのその方針に対して自信を持っているからなのでしょう。

私はVARIA RTL515という製品を通じて、ガーミンの開発力とその真摯さを思い知りました。ガーミンにはこれからも素晴らしい製品の開発を期待しています。

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