Category Archives: 自転車の本当の話

私は下りが不得意だった

実は私、下りが不得意だったのです。

正確にはMTBでの下りは未だに不得意ですし、めちゃめちゃ速い人と比較したら全然敵いません。

今は私のロードでの下りを「速過ぎますね」と言われるのですが、速いというより安全にということを考えた先にあるのが今でもあります。私にとっては安全=遅い=ブレーキではないのです。ストレスを無くしたり、減らしたりすることは安全に近づくと思います。

中高生の時、BMXにも乗っていたのですが、縦方向の動きが不得意でした。だから、自転車を漕げるんだけど、乗れない。自転車を自由に扱えない。

そして、それは自分の限界だから、たぶん無理だろう…とBMXを諦め、MTBもイマイチ乗らなくなったりしました。

そこから10数年、ロードに乗るようになりました。周りには諸先輩方が沢山いてくださって、前を後ろを連なって走ってくれました。上手な人も下手な人もいますが、それが勉強になりました。百聞は一見に如かずです。

しかし、勘所がわからないまま数年乗っていたのですが、結局怖いのに変わりないんです。

「速い人は怖くないのか???」
と思っていました。頭の線がプッツン(古)しているんじゃないか?と。

しかしある時、「レバーはこうやって握るんだよ」と教わりました。その後、ロードに乗ってみると不思議なことで身体の幹の部分から上手に力が抜け、入るところに入るようになり、強く踏めるようになったばかりか、身体とバイクのバランスが保ちやすくなりました。

「なんということだろう…たったこれだけで…」
と驚きました。

ですから、今でも自転車の納車時にはペダリングの仕方やケイデンスなどどうでも良いから、レバーの握り方をお伝えしています。自転車の乗り方を考える時、バットの持ちからから入る野球の教えは自転車の場合レバーの握り方にあたるでしょう。バットの握り方を知らず、ヒットもホームランも打てないのは間違いないとわかると思います。

自転車だからとペダルやその周辺の動きを主体に考えてしまいますが、野球も全身使うと思います。バットを持つ手と腕だけに注目させないと思います。「腕だけで振るな」とむしろ教えるでしょう。そうであれば、自転車も「脚だけで漕ぐな」と教わるはずですが、どのくらいの人がそれを教わったり、伝えたりしているでしょう。ほとんどされていないと思います。

私は下りが不得意でしたが、今では慎重にスピードを管理しつつ、自分の限界を高めた状態でその限界の中で余裕ができるようになりました。

そのためにもう一つ大事なのは、セッティングです。乗る時のフォームしかり、機材選びでも怖さが増すことはあります。例えばタイヤ。

当時の私はカーボンホイールに手を出し、チューブラーってカッコイイぜ、軽いぜとミーハーぶっていたのですが、その後でわかったのはそれが怖さを増す原因でもあったことです。

チューブラータイヤは接地感に欠けます。ゆえに軽く感じます。軽快感もでます。しかし、不安感を同時に演出します。実際にグリップを作り出す能力が低いので滑り出しやすいでしょう。滑ることをNGとするのではなく、それをコントロールすることが必要な乗り手の能力です。むしろ他にないメリットはタイヤが丸いことによるフィーリングの違いです。丸いのでロール感はナチュラルで、滑り出しやすいけれど自然思います。しかし、全体としてこれを良さとするかどうかが乗り手に因ります。結果、私には取り扱えないものでした。

私はチューブレスタイヤを使うようになってから、走行中全域でのセーフティポテンシャルの向上を感じています。

明らかに怖さが減りました。安定感を感じます。同じスピードでもスピード感を感じにくくなりました。ですから、下りが怖い人にはチューブレスタイヤの使用をオススメします。太さは23Cでも25Cでも、どちらも試すと良いと思います。チューブレスに限らず、タイヤの太さ選びは使用用途、路面、体重、空気圧の相関関係だからです。

「パリルーベなどの石畳路面で安定していた」とNIPPOヴィーニファンティーニの選手達もコメントしているのはその様な理由です。

私は今、フォーミュラプロチューブレスのライトを使っているのですが、RBCCと比較してみると、軽量であるから走行感も軽いのか?と言えばそうは感じず、むしろ接地感の低さを感じます。また、ゴムが薄くても剛性を保たないといけないからでしょうが、全体に張りの強さを感じます。ゆえ、RBCCの方が路面の凹凸をキレイに捉え、いなし、蹴っていると感じます。軽量タイヤによくあるパターンではあるので、使用するシチュエーションを限定すればよいのだと思いますが、初めての路面や安定感を求めたい場合にはデメリットもあるでしょう。

バイクコントロールに自信があればタイヤに軽量性を求めても平気でしょう。

そうでない場合、軽量であることで乗りにくさにもつながるので、怖さと転倒へのチャンスを拡げるだろうと思います。もっと言えば、自転車自体の重量に関してもです。軽すぎる事はメリットではありません。

チューブレスはIRCがいい

「どっちもいいですね」なんて言葉は自転車屋さんがよく言いそうです。でも私は言いません。チューブレスはIRCが一番いいです、他より良いです。掛けている研究開発コストが全然違います。他メーカーでチューブレスの評価をするならば、それは正しくチューブレスタイヤを使っている人に話を聞いてからの方が良いと思います。なお、多くのお店でチューブレスを勧めない理由は「取引の厚い代理店との関係性」からである事があります。中身で考えればチューブレスタイヤはIRCかそれ以外か二択ですから、IRCを扱う代理店数社との儲け話が無ければ販促もありません。ちなみに、私はその手の儲け話に疎く、無関係であることが多いので(だめですねぇ…)、IRCを売るより他メーカーのタイヤを売る方が儲かることは知っていますが、ビジネスライクな選択をしていません。思いは乗り手とともにあります。

まして、カーボンホイールの殆どはチューブラー。ゆえ、チューブラーを肯定するほうがメリットが大きいのです。あるいは、チューブラーのデメリットを感じないくらいバイクコントロールの上手な方が多いのかも知れませんね。

ちなみに、自転車メディアに上がる幾つかの写真でチームに供給されているIRCのチューブラータイヤを見つけては「プロトタイプか?発売は?テスト中だろう」などと書かれますが、あり得ません。IRCがチューブラータイヤをリリースすることは無いでしょう。しかし、チームは実際に使っていく中で”本音”を漏らしているのです、「チューブレスはいい」と。それが本当に”選手が選ぶ”ということではないでしょうか。

まずチューブラーありきではありません。

「チューブレスがいいですよ」というと、二言目には「チューブラーよりいいのか?」と聞かれることが多くありますが、そもそもチューブラーありきである背景は「プロが使っているから」だと思うのです。しかしメカニック側からしますと、沢山のタイヤを取り付ける際には貼り付ける方がリムを選ばないので楽だったりもします。下地さえできていれば、それほど苦労はしません。むしろ、クリンチャーの場合にはリムとタイヤの寸法が一定規格ではないがゆえ、かなり面倒です。また、パンクしても走り続けられることはレースを続けるのに必要なことなので、チューブラーのメリットになっています。プロ選手は契約している機材を使うだけですし、メカニックやチームに与えられる立場なので、彼らがチューブラーを選んでいるわけではありません。

むしろ、選手はそこまで気にしていません。一部のメカに詳しい選手がする発言が目立ちますが、殆どの選手は”どうでもいい”とすら思っています。そうでないとレースが出来ません。余程の特殊能力がない限り、「Macじゃないと仕事ができないです」という社員が居ないか必要ないのと同じで、備品を使うのも仕事ですから。

”レースをするわけではない”のであれば、私達は自分自身のポテンシャルをもっと引き出す方向に機材を選び、セッティングをし、それらの”道具”を使うためのノウハウを共有しあうべきでしょう。

まとめると

自転車での安全の実現には、結果的に速さも同居しています。安全に走るには安定していることが必要で、自分自身のポテンシャルを引き出せるので、結果的に速くなってしまうということです。ゆえ、速いけど転んだり、事故が多い人というのは速さを実現する時のアプローチが異なっている(間違っているし、不安定である)ということだと思います。その様な人から何かを学んではいけません。下りでは”コーナーに突っ込む”なんて表現はしません。そのようにする人から学ぶことはありません。

安全を実現しやすくする方法の一つがタイヤというわけです。この記事は単なるタイヤの広告ではなく、そういうことの寄せ集めによってバイクをコントロールしやすくすることができますということを言いたいがためです。

そのような多くの理由においては、一般的に聞くものの中に正解と不正解が入り乱れています。

例えば、怖いからと安直にハンドルを上げ、ステムを短くし、乗り手の感情に対して同情をすることは一見歓迎されがちですし、それをしないアドバイザーに対しては「厳しい、本人のことを考えていない」と責められがちです。しかし、これはライダーの成長を阻害し、怖さの克服を遠のけます。恐らく、怖さは克服するより、”とりあえず遠のける”方が楽にモノを売れるのは間違いありませんし、クレームを生むことも避けられますが、真にライダーの成長を育むことは出来ないと思います。

以下はツイッターのモーメントとして長元坊バイシクルツアーズの飛松巌さん(Toby)が書いたものです。

彼と私は以前同じ職場にいて、色々と議論を交わした中でもあります。自転車にあまりに真面目過ぎて、商売の為にウソを付くのも苦手な二人です(笑)。本当のことを伝えたい、芯を突きたいとの思いから、今回も文字にしてくれています。

ぜひ読んでみて下さい。

私が考えていることとほぼほぼ同じですし、私が下っている(走っている)最中に実行していることそのままでもあります。「え、こんなに多くのことをやっているの!?」と思われるかもしれませんが、市街地ではさらに多くの情報処理を求められますね。

カーボンフレームの秘密

カーボンフレームはその技術フェーズが理解されていない事が多いので、なぜ高いのか、なぜ安いのかが見えにくい製品です。

どちらかと言うと、価格設定からその技術的・素材的価値を広告されているケースが多く、それがユーザーがする中身への価値判断を混乱させる大きな理由になっていることでしょう。

カーボンフレームには大き分けて幾つかのタイプがあります。
① 自社で型を起こし、完全にゼロから開発することができる
② OEMメーカーに生産させ、設計開発のみを行う
③ OEMメーカーに既に存在している既成型を利用する
④ すでに償却の終わった型を再利用する

これらはキッチリと分けられませんが、代表的にはザッとこんなイメージだと捉えて下さい。カーボンは型に張り込んで加熱整形することはご存じの方も増えていますが、その内情は余り知られていないと思います。

当店でオススメしているマスプロメーカーはメリダですが、これは①にあたります。完全にゼロから開発、試作、生産、塗装、組立、販売まで行います。素材のカーボンシートも糸から編むことができますので、完全自社生産です。

これは大変コストが掛かるのですが、生産をトヨタ式にすることで無駄を省き、効率を向上させ、製品単価を下げることに成功しています。ジャイアントも同様ですが、その2社のみが独力生産が可能です。

トヨタ式生産とは
柱となるのが“7つのムダ”削減、ジャストインタイム、標準作業時間に代表される現場主義、自働化。トヨタ生産方式では、ムダを「付加価値を高めない各種現象や結果」と定義。このムダを無くすことが重要な取り組みとされる。ムダとは、代表的なものとして以下の7つがあり、それを「7つのムダ」と表現している。
 作り過ぎのムダ
 手待ちのムダ
 運搬のムダ
 加工そのもののムダ
 在庫のムダ
 動作のムダ
 不良をつくるムダ

無駄が多ければ、単価は上がる。非常にシンプルです。

②と③のパターンは判別がつきにくいと思います。同一ブランドの中で使い分けをしていることもあり、Aメーカーはどのパターンとはいい切れません。ただ、何れもが独力生産できないので設計開発はすれど生産・塗装や組立は外部委託となるなど、いくつかのパターンを使い分けます。

④に関しては最近リリースされたあるフレームでも見かけました。見た目や設計が古いので分かりやすいものですが、③のパターンと比較して製品単価は更に安くなります。ショップオリジナルや小規模OEMメーカーのオリジナルブランドでは③または④のケースになります。そうでなければ、まともな開発費用をペイしきれません。

開発力の差は先進性の差になり、性能の差になります。ある程度は乗る人によりけり、その差はスポイルされるので、見えにくい部分です。速いか遅いかという性能差に加えて、開発力の差は快適性や乗り味の気持ちよさにも表れるかも知れません。開発力の弱いメーカーやバイクはフィーリングが古臭く、どうにも特別な感覚は得られません。

つまり、カーボンフレームの単価はそのほとんどが素材ではなく、インフラや生産管理、流通コストによります。自転車以外でも同じでしょうか。

ゆえ、高価格=高性能でもなく、高価格=高級素材ということは言えません。しかしながら、低価格の方にも理由はあり、その生産方法は様々あるということです。

”Aメーカーが某国で生産されている”などの噂話のような事にあまり意味が有るとは思えませんが、フレーム(製品)を生産する過程の違いによってその製品の価値理解は変わりますし、価格への価値観も変わるだろうと思います。

「乗るだけなら中身はわからないし、乗って違いが分かるかどうか…」

このように思われるかも知れませんが、組み立てる我々は”帳尻合わせ”に日々苦労しています。組み立てるだけでひと苦労どころか、丸一日以上を掛けるケースも実際にあります。最近も、知人のショップオーナーがとんでもない代物を組み立てていました。でも、安物ではなくいわゆる高級メーカーとして知られるブランドです。普通に乗れるようにするだけで大変な苦労がある事は少なくありません。私が某店に勤めている時には多くのブランドのバイクを組み立てましたが、沢山の苦労をしました。全自転車ブランドの中で片手分くらいのメーカー以外は、従業人100人程度かそれ以下の中小規模企業規模であるのでそれも理由だろうと思います。ゆえ、下手に高い値付けの製品より、OEMメーカーが自分の技術力の範囲で、あるいはそれを発揮して信頼性を高めた、比較的低価格の製品のほうが総合的に評価されたりする逆転現状も起きてきます。

私は「結局は乗るだけの人にはわからないでしょう」ではなく、ユーザー(サイクリスト)自身がその成長に伴って、自分で自分のバイクをメンテナンスしたり、いじったりすることがあると思っています。その際、我々が組み立てるのに苦労するようでは、セルフメンテナンスをすることは絶対にできないでしょう。我々がイージーに感じるのは慣れているからですが、それを理解・会得するまでの時間には差があります。

当店おすすめのメリダはその部分も大変良くできています。

自転車の開発では性能向上も大きな目的の一つですが、メンテナンスし易いフレーム作りであったり、耐久性や信頼性など、あらゆる全方向での性能向上が目的です。

自社あるいは独力生産出来ない場合、それは外部への発注となりますから、生産数量やクオリティ如何が製品単価に対して影響を及ぼします。ゆえ、コストパフォーマンスは下がります。これが高級メーカーの中身であり、高価格になってしまう理由です。

実際に乗ってみて違いはあると思いますが、微小です

掛けたコストを回収できるかどうか…がコストパフォーマンスの要だとすれば、実際のパフォーマンスではなくそちらの方が大事になります。なぜなら、技術的にはほぼ同じようなレベルでの生産ゆえ、一社だけ飛び抜けて良くなる可能性は無いからです。

普通のお店であれば、「メリダが一番いいです、走ります!」というのでしょうけど、余り話を大きくしては行けないと思います。

金属フレームの場合、一人の職人が持つ技術によって製品のパフォーマンスやクオリティに差が出ますし、腕の良い職人を育て続け、キープし続けることが要になります。しかしながら、カーボンフレームの場合にはその生産施設に掛けられるコストによってパフォーマンスもクオリティもよくなります。個が有利なのではなく、システム有利の世界。つまり、大規模こそ正義です。

ゆえ、メリダはコストだけではなく、パフォーマンスでの比較でもトップレベルを保つことが出来、コストを含めた総合評価において現在は1位や2位に並ぶブランドとして評価されていることだと思います。

NRCのコストパフォーマンス

コストパフォーマンスという言葉が最近は多く聞かれます。

同じ価格である場合、その中身を比較するということだと思います。価格を決定する場合にはその理由が大事なのですが、高価格である場合より低価格である場合の方が誤解も増えるようです。

高価格である場合「高いのだから良いのであろう」と推測され、その性能を高く推察してくれるでしょう。しかし反対に、低価格である場合には安さの理由を怪しまれ、安いからよくないのではないか?とその性能を低く見積もられてしまうでしょう。

カールツァイスレンズ採用なのに2万円!というと、まるで通販の謳い文句のようですが、中身がちょっと違うのです。

その意味で高くて2万円というNRCアイウェアは、他ブランドとの比較においては低価格だと認識されますので、もしかすると誤解されている可能性もあるようです。

多くのアイウェアは眼鏡屋さんに卸されます。メガネ屋さんの仕入れ値は定価ベースに対して大変安く、利益率も大変高いものとなります。ゆえ、アイウェア全般の定価設定は高額になっています。しかし、NRCは”こだわりづくしの自転車店(笑)”にしか卸されていないので彼らのビジネスとして成立する必要はないのです。

結果的に、ユーザーは安い価格でアイウェアを手に入れることができています。そのような販売網を構築している代理店さんは本当にサイクリスト思いですね。

それに加えて、OEMメーカーであることで単価が同コストであっても生産管理コストが安く、売価を下げることができています(メリダが安い理由と同じ様)。ですから、NRCでOEM生産されているA社、R社やK社などは明らかに内容が劣るか、非常に高い売価設定であると思います。つまり、コストパフォーマンスがよくありません。

なお、日本以外の国では25000円前後で販売されているNRCアイウェアをぐっと安い価格で手に入れられます。ぜひ試着してみて、そのレンズ性能の違いに驚いて下さい。

マティーノウェブストアでも販売しています。

NRC X1 RR 2017 | サイクルショップ マティーノ ウェブストア
https://mattino.theshop.jp/items/6027834

NRC X1 2017 | サイクルショップ マティーノ ウェブストア
https://mattino.theshop.jp/items/3209595

NRC X3 2017 | サイクルショップ マティーノ ウェブストア
https://mattino.theshop.jp/items/6027796

100g

broccoli-100g

軽量化するのに100g削るとしたら、もっとも効果的だと期待できるのはどの部分なのでしょう?

フレーム?
ホイール?
タイヤ?

時と場合によりますよね。ニーズによって違います。

では逆に、コストに見合わない方法ってどういう場合でしょう?お金が際限なくあれば、なんでもやればいいと思いますが、優先すべきはどこなのでしょう?何なのでしょう?

私もある程度は軽さがほしいですが、登りばかり走るわけではないので、色々なことを考慮します。また、乗り味やペダリングの感覚を犠牲にしたり、悪くしてしまう場合もありますから、そうならぬようにします。あるいは、重量はそれほど軽くないけれど、軽い感覚を乗り手に与えやすい手段の軽量化もあります。

ちなみに、私の中でその手段によってい影響を受けるのは、下りだったりします。また、スピードが出ている時です。何グラムをいくらで買うか?ではなく、乗り手に感じさせる効果の中身ということですね。

恐怖感を感じにくくする機材チョイスをすることで、安心感を感じやすくし、自分が持っているスキルやポテンシャルを最大限発揮しやすくすることです。乗り手の技術次第では、より広い機材チョイスが可能になりますが、自分で苦手だと認識していることがあれば、気にしたほうが上手に安全に乗ることが出来ると思います。

全体の足し算引き算で考えると、アレもこれも買うことになります。その時にどういうチョイスをするか?ということです。

何を言っているのか分からない方は、自転車に乗って相談に来て下さい。

機材を変える時の真面目な話

大塚さんにはペダルとコーチング(のようなもの)でサポートさせてもらっています。

有名人ではありません、ただのアマチュアレーサーです。20年以上レースをしてきて、MTBのXCもロードの実業団も経験し、今は自分の限られた時間の中で満足できるレース活動が可能な(それでもかなり厳しいですけどね)シクロクロス一本に絞って活動されています。チームはイルクオーレさんのメンバーですが、私のところにも色々相談に来ていただいてまして、その都度お話してきました。

時折、自転車について相談してもらっていたんですが、すごく信頼していただいているなぁとその会話から感じるのが心地よくて、ついつい本気で話し込んでしまいます。遊びなんだけど、お互い真剣(笑)あーでもない、こーでもないと自転車談義はどこまでも続きます。

でも、ふざけてないところが心地よいんですよ。悩みとは言ってもふさぎ込む悩みではなく、何かを変えたいと思うからこそ、超えなければならないストレスの壁という感じでしょうか。「使えるようになれば良いことはわかっているけど、使えるだろうか?」と。

自転車に対して(もしや、全ての事にかもしれないけど)、ここまで真面目な人はあまりお目にかかれません。「自転車が好きです!」っていう人は沢山いるんですけどね。自分に嘘をつかない人って稀なんですよ、しかもそれを話せる相手には話してくれる人。普通は自分の弱さから逃げるし(私も笑)、それを強がって話す傾向(ん?覚えアリ?笑)があるでしょ?自分に言い訳しちゃうでしょ?「時間がなくて(仕事が忙しくて)乗れない」とか(笑)

悩みがあると相談されて、それに対して”おだてる”話じゃないと、納得しない人は結構多いです。「まぁ、お客さんだし」と言われればそうなんですが、僕はそういう時”お客さん扱い”しないので、不快感を覚える方もいるでしょう。でも、だからこそ大塚さんは相談してくれているのは分かっています。でも、一応使い分けてますよ。ファッション性重視の方にはマジメに詰め寄ったりはしません(笑)

今回は長年使用してきたTIMEのATACからDIXNAのクロス48ペダルに変更してもらいました。流石に20年以上使ってきた機材を変更してもらうのって大変です。私も長年ロード・MTB共にTIMEペダルを愛用してきたので、その大変さ(というか気持ち)はわかります。その大変さを分かっているんですが、「何かを変えたい」というご本人の希望あって、替えることも選択肢に入れてもらいました。自分自身でテストして、その効果を具体的にお話して、その結果やるかどうかはもちろん本人が決めます。そうでないと、”使える”ようにはなれません。どんなときも大事なのはモチベーション。

機材を変更する時、それにより生じるネガティブ面を精査するまでは良しとして、ポジティブ面をネガが一つでもあると消してしまったり、そのネガを最悪のケースまで想定して実際はありえないことまでプランニングし足を止めて引き下がるケースはよく見かけます。大塚さんの場合、じっくりと相談させてもらって、ご本人もよく考えてもらって、決めてもらいました。その過程で自分には何が欠けていて、何が必要で、それに対してどのようにアプローチするかということが客観的に整理できたのだろうと思いました。

だから、「これなら使ってもらえそうだな」と分かったのでサポートさせてもらったという経緯です。

”使えるかどうかわからないけど”ということではその条件は出せませんからね…

何が言いたいかというと。

機材を変えることで”ある程度の変化”は必ず起きます。また、その変化の具体的な印象を想像するには、一定の期間の経験が必要です。だから諦めろということではなく、そういった変化を起こしてこそ”それが経験になる”ということです。だから、最初はしょうがないので、”使ってみたいな”という思いを我々に伝えていただいて、それに対して”相談”に乗りますよ。でも使いたい気持ちって早々萎えませんね。だから、いずれにしても使っちゃうほうがベター。ただ、”相談”といいつつ後押ししかしない人も多いですから、気をつけて下さい。

パーツを交換することだけが変化ではなく、最終目的は自分自身を変えることです。

”ある道具を使えるかどうか?”と悩むところはわかりますが、”使えるようにする”のは自分の実力やスキルや経験で決まります。ゆえ、まだ初めて1〜2年の内は”使えているかよく分からない”のって普通ですよ。使えていると勘違いすることも含めて、進んでは後戻りしながら、ちょっとずつ成長するんです。

変えることで自分に起きる変化はポジ・ネガ両面あります。そのネガをどう消すか?とか、どう処するか?を考えることで、大きな経験となります。どっちも気にならない人、気づかない人はいるので(笑)それはそれで才能でしょうね。(笑)

自転車のフレームも”どれが一番いいか”とか、”どれが合っているだろう”と考えてしまいますが、自分をフィットさせないといけない部分って絶対に存在します。それはネガではないと思ったほうが良いです。単に慣れるというケースもあれば、意識的に合わせないと行けない場合もありますし、そもそも無理なケースは有るでしょう。そこは相談で解決します。その為にお店はありますし、ネットでは絶対無理なことです。相手は自分をどれだけ知ってくれているか?が相談相手に必要な要素ですし、その上で真剣に向き合ってくれているか?が大事。「いいじゃん、かっこいいね、軽いし」なんて言うのは簡単なんです…

機材はどんどん変えた方がいいと思っています。「お金使えってことか」と解釈してもらっても構いませんが、高いものを使うだけが変化ではありません。そういう真面目なサイクリストには色々なプランを提案したいと思っています。自転車屋さん(特に個人事業なら)ってそういう人が好きなんですよ。とにかく買ってくれる人もありがたいけど、どんどん使って、真剣に話してくれて、素直に聞いてくれる人(まずは飲み込んでくれるという意味)。ま、都合のいい話ですけどね。

そういう方、何人か知ってるんですけど、僕はそういう人を自分のお店にとっても自分にとっても、欠かせない大きな財産だと思っています。

こういうこと書くと、また「この店はガチだ」とか言われちゃうんだろうなぁ(笑)。

でもさ、スポーツや趣味をするなら”ガチ”の方がかっこいいでしょ?

[自転車のホントの話] 開発費

2017年モデルの展示会も盛んに行われている自転車業界です。

その中ではグンと価格を下げたブランドやモデルが目立つように感じます。今まではなんだったの?安く買えるなら歓迎だね!と色々な声があります。個人の選択に間違いはありません。いずれも意味があり、ちゃんとした価値を生むでしょう。しかし、それが偽りのストーリーならその価値は誤ったものになってしまうかもしれません。

ヨーロッパの小さなバイクメーカーなのに二十万円台のフレーム価格で用意できるということは、ほとんど開発せずに型代だけ償却する予定で利益出すということでしょう。型は起こしました、そこまでということです。あるいは工場に用意された型を利用し、あとは本国にいるデザイナーが色付けを行う場合もあるでしょう。いずれの場合も自転車の開発と呼ぶには弱々しいものです。海外の多くのヘルメットメーカーも同じです。趣味と割り切ってカッコつけるもよし、しっかり開発された自社製品を評価するも良しですね。そうでなれば、安い価格で用意できるはずもありません。

どのメーカーのバイクも悪いものは少なくなったと言いますが、そのバックグラウンドにはこの様な理由もあるようです。

私はドイツにある自社のR&Dで開発され、台中の自社工場で生産され、価格も安く、実戦でその成果をを証明しようとするMERIDAに乗りますが、あなたは何を選びますか?

[自転車の本当の話] 体重の増減を調べよう

今朝の2時間の練習後でも体重の増減はほぼありませんでした。良い結果です。

[本日の私の体組成]
身長:165cm
体重:65.35kg
体脂肪率:12.7%
骨量:3.0kg
筋肉量:54.05kg(骨格筋・平滑筋と水分量を含んだ値)
内臓脂肪レベル:7.5
基礎代謝量:1572kcal
体内年齢:18歳(ティーンですよ、ティーンw)

水分を失うとパフォーマンスが低下する。

練習前後で体重を計測し、2%くらいの減に留めることをオススメします。70キロの方で、1.5キロまでです。2キロ減っている場合には脱水と判断してよいでしょう。

体重の2%に当たる水分が失われるとパフォーマンスは低下します。この状態では疲労として実感することはありません。でも、身体は脱水状態です。

3%以上になりますと、パフォーマンスの低下が顕著になり、疲労を感じるようになります。おおよそ、3時間以上猛暑の中で走った場合にはこの状態になっている方が多く、ものすごい疲労感に襲われ、ペダリングするのが辛くなるでしょう。

4%以上の体重を水分で失っている場合には、かなり危険な状態です。体温の上昇、皮膚の紅潮、尿量の減少と濃縮、頭痛、体のほてりなどが表れます。

なお、運動をしない場合でも成人が一日に必要な水分摂取量は体重1kgあたり50ccです。体重70kgの場合、3.5lの水分摂取が推奨されています。

トレーニングの前後で体重を比較しよう。

パフォーマンスの低下を防ぐには、運動前に自分の体重を測っておき、運動中や運動後にどのくらい体重が減少しているかを確認しながら必要に応じて水分補給をしていくとよいでしょう。

減った中身は何なのか?

かなり長時間に及ぶ運動をされた場合などでは「体脂肪が減ったはずだ」と感じられると思いますが、注意が必要です。

最も効率よく有酸素運動を行った場合でも糖質と脂質の燃焼割合は50:50です。運動強度が上がると60:40になり、レースペースでは70:30ほどになります。ゆえ、もし脂質を1kg減らす為には50:50の場合だと7200×2=14400kcalの消費が必要だと計算できますが、実際には異なります。長時間の運動になると、糖質の補給だけでは不足してしまう為に脂質の燃焼効率は上がると言えます。問題は消費カロリーに対して摂取カロリーが下回ると脂肪燃焼効率は上がるということですが、運動中に関して言えばパフォーマンスは非常に低下します。

身体にはどのくらいのエネルギーがある?

グリコーゲンは、通常成人男子では90~150gが肝臓に、100~400gが筋肉内に存在し、また血中グルコースとしては、わずかに15~20gだけと言われています。つまり、蓄積されている糖質によるエネルギー源はわずかに1500~2000kcalに過ぎません。正しくカーボローディングした場合でも2400kcal程度とされます。

この糖質を7割使ったあたりでかなりの疲労を感じるようになり、全て使うと意識朦朧になります。しかし人間はすごいもので、糖質が足りなくなると筋肉を分解し、燃やして身体を動かすようになります。糖質が極度に不足している場合、それを得る為に筋肉が分解されます。ただ、これはあくまで最終手段です。言ってみれば生命の防衛手段です。通常の生活をしている人であればまず起きないことですが、自転車での話では割りと聞く話です。ツール・ド・フランスの後半になると、筋肉が痩せていくとはこの事です。毎日、無酸素運動をしているのにも関わらず、回復が間に合わず、なお筋肉が痩せるというものすごい状態となります。身体の抵抗力は下がり、体調も悪くなりやすくなります。

また、有酸素運動のみをしていても減ります。筋肉は破壊と再生を繰り返して強化されます。つまり、筋肉を維持するための筋トレあるいは無酸素運動が必要です。

長時間に及ぶ運動をし、「体重が何キロ減ったぞ」という場合、脂質もいくらか減ってはいます。しかし、多くの水分と筋肉も失っているということです。特に筋肉を失うと、基礎代謝量が低下しますし、パフォーマンスそのものに影響が大きいでしょう。取り戻すのは大変です。一日の消費カロリーの内、基礎代謝が7割を占めるので、日常生活での消費カロリーは低下します。ゆえ、それまでと同じ食事を摂取している場合には体重が増えてしまうということになります。

ですから、ライド後の体重減は自慢できるものではありません。

それでも脂質も減るはずだ!というのは間違いではありません。しかし、実際に減った体重に対してはそうでもないということです。人間は燃やしやすいものから燃やします。体内に蓄積された糖質と脂肪は、余剰分を優先して使うための相互バランス関係にあります。

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低強度・長時間ライドで弱くなる。

”低強度・長時間の運動が最も有酸素運動として適しており、体重も減る”ということは、もう既に真実ではなく、ウソです。最大心拍数の60~70%の低中強度運動のことで、脂肪燃焼率は約50%です。最大心拍数の70~85%の高強度運動では、心血管や呼吸器系を向上させ、脂肪燃焼率は約40%となります。

つまり、ロングライドと称して常に低強度かつ長時間に及ぶライドをし、実際に体重が減少しているケースでは、多くの水分や筋肉量も同時に減少させているということでしょう。特に、ライド後に非常に疲れてしまう場合には、その可能性が大きいと言えます。このような運動を続けると、どんどん痩けていきますが、遅くなりますし、むしろ”マッチを擦る”必要があるような高強度の無酸素運動に耐えられませんので、実際には登りで遅くなると思います。

高強度・短時間の無酸素運動をして筋肉量を増やす/維持し、基礎代謝量を上げた上で食事を制限することが体重を減らすための方法ですが、非レース&長く強く走ることが目的の私は食事を制限することはほとんどしません。特に必要ありません。

体組成つまり、体質というのはそう簡単に変わるものではありませんから、そもそも骨太で筋肉量が多い場合には、体重を減少させた場合に筋肉を失い、平坦やオフロードでのパワーは落ちますので遅くなります。その代わりとしてパワーウェイトレシオが上昇し、登りだけ少し速くなるかも知れません。

しかし、筋肉量が減ったことで基礎代謝量は減少し、食事制限を解除すればゆっくりと体重は元へ戻り始めるでしょう。加齢とともにこのようなプロセスは相当な無理が生じます。

運動の質と量をコントロールし、自分の体質の中で良い状態にすることがベターだとオススメします。どのくらいか?というのは経験値が必要ですから、いろいろなテストをし続ける必要はあるでしょう。その際、他の人間の意見やアドバイスが役に立ちます。

この話の続きはお店でしませんか?
お待ちしています。

[自転車の本当の話] メーカーとブランドは違います

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私が自分のお店でおすすめしている車体、グッズ、機材などはメーカー製に拘っています。

ブランドを作り、そこで製品を企画し、作らせて販売する。ファッションとしてのスポーツサイクルであれば、その連鎖でも良いと思いますが、”スポーツのための機材”として「この自転車は本当に良い自転車ですよ」と胸を張って言うことが私には出来ません。自分たちで作っていないものを、製作している現場も見ていない人が代理して、それを私が自身を持って売ることが出来ないんです。

だからモノを選ぶ基準は、性能が良いかの前に、信用できるメーカーか代理店か、それが一番大事です。そこに不安があるけど売ろう、売れるだろうという事は良くあります。

性能は優れていても、良いと感じても、「本当に良いモノなのか?」という問いに自身を持てないということは、きっとどの自転車店さんも感じていらっしゃると思いますが、それを表面化させない工夫をしてらっしゃるということだと思います。

昔はどこも自転車メーカーでしたが、今ではごく一握りです。

最上位機種のみメーカーとして作るけれど、それ以下は任せてしまうこともよくあります。あるいは、ブランドを持っている会社が作り上げたお話に則って展開することも多くあります。いくつものブランドを持っている企業もあります。全てはビジネス戦略であり、”古き好き自転車の世界”はもうここにはありません。

オブラートに包んでいるのは大人の事情があるからで、お店では何のシークレットもなくお話していますので、ぜひご来店下さい。

辛い話や面白くない話に感じる方もいらっしゃると思いますし、それを聞かせて自慢したいわけではありません。ガッカリする顔を見たいからでもありません。”自転車の本当の話”を聞きたい方は普段聞けない話だと、こんなこと言われたことないと喜んでいただいています。それを”話さないで隠す”のではなく、吸収していただいて何を選ぶか?とご自身で考えていただく事ができます。

まずは聞いてみないと判断できません。

それは当店でオススメしているメーカーの良さを知って頂くチャンスになっているのはもちろんなのですが、ご自身にとってどんな魅力的な自転車を欲しているかも整理するチャンスになると思います。

今は元OEMメーカーがトレンドです。

技術が集約され、結局誰が強いか?を明らかにしています。今や限られたブランドのみが注目され、それ以外では失敗し、中身の無い製品に四苦八苦している状況も見えて隠れしています。

技術は持たず、ブランディングという広告戦略に乗っかって、楽しく自転車に乗ることもできますし、良いと思いますが、自動車界で言われるような”自転車好き(クルマ好き)”は「ホンモノを求める」のだと思っています。

”ブランド好き”はお金に限りがない人には楽しく見える世界なのですが、そうではない私みたいな人には”買えないだけ”でしかありません。はい、面白くありません。また、買ってしまえばオシマイで、次が欲しくなるだけです。

自転車でラクに速く遠くへいきたいのであれば、ハードよりソフト、そして自分自身への投資が一番効きます。

私は自転車の楽しみ方として、単に”買えるか買えないか”がキーになっては面白くないと思います。”ブランドを持っている”ことの主張も楽しみ方ではありますが、最終的にお金を貯めて買うにしても、それは自分の体のためであったり、新しい目標のためであったり、”意味のある投資”であれば私は気持よく払えます。お金がないからです(笑)し、あっても投資効果をちゃんと整理したいし、良い買い物をしたいからです。

多くの自転車メーカーでは、創業したファミリーや人材はほぼいなくなり、別のブランドになっています。全体で言っても、残っているのはもう片手くらいでしょうか…。モノを作る人だからこその意地とプライド、これを感じる製品が私は好きです。

この話の続きはお店でしませんか?
お待ちしています。

今後はこういう話をシリーズ化してまとめて吐き出していきますので、覚悟してください(えw