[ コラム ] TLシーラントと石鹸水は混ぜません

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まぜるな危険(うそです、きけんではありません)

中性洗剤や石鹸水がチューブレスタイヤ用シーラントに混ざると、シーラント内のラテックスが固まりにくくなる(または全く固まらない)可能性があります。

チューブレス用シーラントの多くは天然ラテックスや合成ラテックスを主成分とし、空気と接触することで凝固して穴を塞ぎます。この凝固反応は、水分の蒸発や酸素との接触、pHの変化などによって促進されます。

ところが、

石鹸水や中性洗剤が混ざると起こりうることとして、

  • 界面活性剤がラテックス粒子を安定化してしまい、凝固しにくくなる
  • シーラントが均一に分散したまま維持され、穴を塞ぐための凝集反応が起こらない
  • 一部の洗剤成分がpHを変化させてシーラントの性質を変質させることも

が起きる可能性があります。

ラテックス使用/未使用

ラテックス系シーラント × 石鹸水:相性は悪い
 → 石鹸水に含まれる界面活性剤がラテックス粒子を乳化させてしまう。ラテックスは空気中の酸素や乾燥によって凝固して穴を塞ぐが、石鹸水が混入するとこの凝固反応が抑制される。その結果、穴を塞ぐ力が弱くなる/固まらず漏れ続けるという問題が起きやすい。

非ラテックス系シーラント × 石鹸水:相性は良い(がしかし)
 → ノンラテックス系は「ラテックスが固まって穴を塞ぐタイプではなく、粒子やゲルが物理的に穴に詰まる」仕組みなので、界面活性剤の影響をあまり受けずに性能を発揮することが多いが、石鹸水が多量に含まれる場合、シーラントを弾いてしまい、タイヤの内側に定着しにくくなる可能性がある。ラテックスフリーであるフィニッシュラインやヴィットリアのシーラントについて石鹸水にそこまでシビアではないが、やはり石鹸水と混ざらないほうが良いと思われます。

実例

  • 大抵のお店では、タイヤの内側をよく拭くか、あるいは若干の真水のみが残った状態でシーラントを注入するようにしています。
  • ビード上げのために石鹸水を使ったリム・タイヤにシーラントをすぐ入れると、効果が出ないことがあるとメカニックから報告されたことがあります。

結論

  • どうしても石鹸水を使いたい場合は、最小限にし、拭き取りを行う。
  • 石鹸水を多用する運用(例:きつい)なら、ノンラテックス系を選ぶ方がトラブルが少ない。
  • ラテックス系を使いたい場合は、石鹸水使用後にリムやタイヤ内部を拭くか、真水のみにすること。