MERIDAのSILEXについてもっと知ろう

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SILEX(サイレックス)をしっていますか?

阿刀田高の本のタイトルみたいになっていますが笑、実際、あまり知られていないので、残念だなと思っています。一部には根付い良いファンはいるものの、世のグラベルブームに押し流されようとはしていまいか?と心配になってきました笑。SILEXはグラベルロードではありません。SILEXはグラベルブームがくる数年前の2018年にデビューしました。もちろん、グラベルという流れが来ることをメリダの開発陣は知っていましたが、そんなことは構わず、自分たちが良いと思う、メリダらしい製品をリリースしました。

その”グラベルブーム”は、ぼくが予測した通りで、早ければ登場から3年、あるいは5年位で”セールス的には”終息に向かうのではないかと言われています。その後も、「太めのタイヤが使用できるロードバイク」は存在し続けますから、「それがグラベルだろう、残ってるぞ」と言われそうですが、実際にムーブメントそのものはかなりローカルな存在になるものと思われます。それはレーサーロードバイクが同じようにして市場を縮小していっていることと並行して起きていますし、実際にそれらの市場で動いているユーザーは同じ人らであることは、海外も日本もあまり変わりがありません。つまり、レーサーロードバイクでの遊びに飽きた人が買うものであり、それ以上の裾野の広さは発揮できないだろうということです。

なぜ、グラベルロードのセールスがロードバイクほど伸びないのか、あるいは終息してしまうかといえば、それは結局はロードバイクだからです。グラベルロードを買った人々は、グラベルを走るのではなく、舗装路を走ります。店では「レーサー系よりグラベルのほうが初心者向けである」という感じのポジティブなセールストークをされると思いますが、タイヤが太くなっただけで、ジオメトリの基本ベースを変えないのに、そんな事が起きるとは思えません。現在のロードバイクでは、舗装路を走る場合、レーサー系でも28-30Cのタイヤを使用します。グラベル系では32-35Cくらいが使用されると思いますが、舗装路をメインに走る場合には、やはりダルく感じますので、30Cくらいにはしたいと思うでしょう。と、結局はロードバイクになります。

ロードバイクとMTB、両方持っている人ならわかりますが、なぜか「MTBは乗るだけで楽しい」と感じます。これが本当に不思議なことなのです。ロードバイクの経験しかない人は「いや、ロードだって楽しい」と反論すると思いますが、そういうことではないんです。ロードバイクの楽しい。でも、MTBのような笑顔が自然に溢れ出てくる楽しさではないし、「色々な道を走ってみたいな」というワクワク感もないでしょう。

「近所にグラベルがないからだろう」という意見もよく耳にしますが、どうでしょうか。ぼくはそうではないと思います。近くに山がないから登山をしないでしょうか?近くに海がないからサーフィンをしないでしょうか?ぼくにはレーサーロードバイクをベースにしたごく一般的なグラベルロードで、未舗装路を走れるくらい技術のある人がそれほど多くいるとは思えません。ゆえ、グラベルを走っているのはごくごく限られた人だけで、結局はロードバイクとして利用します。ゆえ、あえて”グラベル”というジャンルが伸びたり、残っていくとは思えないということです。

それに対してSILEXは、他メーカーのロードバイクにはない、たいへんユニークな存在です。遊び方や文脈を間違えてしまえば、間違った評価を得てしまったり、誤解をしてしまう可能性もあります。ですから、この動画ではメリダR&Dのパトリックがじっくりと解説をしてくれています。ただ、パトリックは2年ほど前にCUBEに転職してしまったので笑、もういませんが笑。ぼくはパトリックに2度ほどあったことはあり、その時には直接SILEXの魅力を聞きました。彼は日本に来たときにも、自分のSILEXを持ってきては、伊豆半島をキャンプをしながら旅をしていました。

なんでもできる便利なやつ

「スイスアーミナイフのようなロードバイク」であるとパトリックが言っているように、何でもこなせるということがSILEXの利点です。ロードバイクでありながら、MTBを基礎とした設計思想を取り入れることにより、優れたオフロードでの性能を発揮することができます。

MTB + ロードバイク = SILEX

「MTBからインスピレーションを得たジオメトリ」は、比較的長いリーチと短いステムを特徴とします。さらに、非常に長いヘッドチューブを組み合わせることで、SILEXのその存在を大変ユニークで他のないものにしました。試乗にはエンデュランスジオメトリと呼ばれるものもありますが、一般的なレースジオメトリのロードバイクと比較してそれほど大きな違いを感じることはできません。実際に乗っている様子を見てみても、多少体を起こしている程度であり、ペダリングの仕方や乗り方そのものは全く変化しないことが多いでしょう。しかしSILEXでは、まったく自転車に乗ったことがない人でも、最終的には明確に異なるバイクであることに気づくでしょう。リーチが長いためとても安定していることに気が付きますし、長いヘッドチューブのおかげでロードバイクより遥かに直立した姿勢を維持することができます。また、短いステムと組み合わせることで、操作が俊敏で、安全で、楽しいと感じることができます。

「MTBもロードバイクも持っているけれど、もうロードバイクは乗ることがない」そんな方には、SILEXを購入し、MTBもロードバイクも処分してしまうということを提案します。MTBのような、乗るだけで感じられる楽しさと、ロードバイクのような遠くへ行く楽しさに、悪路を走る楽しさまでプラスできるのはSILEXならではです。

オフロードを走るのがめっちゃ楽しい

グラベルロードでもオフロードを走れるんだということに、世の中的にはなっているようですが、実際にやってみると、かなり危うい安定性であることが分かると思います。SILEXはMTBベースということもあって、まるでMTBで走っているような安定感と走破性を発揮します。ジープロードどころか、シングルトラックも走れますし、倒木を越えたりすることも容易です。どこでもより容易に走れるほうが、危なっかしいより楽しいに決まっています。

SILEXで下り坂が上手くなる

そして、乗り方も自然と変わってきます。ただ、自転車の上に乗っかっているだけではなく、しっかりと自転車を操ることができるようになります。下り坂を走るとき、多くのロードバイクのデザインではドロップ部を持つことで、多くの安全性を提供することができるようになっています。しかし、あまりにもスポーティすぎるため、実際にドロップ部を握ることができない人もいます。すると、ロードバイクの優れた機能性や安全性を発揮させることができません。SILEXでは大変長いヘッドチューブにより、ドロップ部の高さを上げ、たいへんカンタンに利用できるようになっています。誰もがドロップ部を握り、安心して”一本の指で”ブレーキを掛けたり、操作をすることができます。特にオフロードを走る場合、ブラケット部を握るだけではバイクコントロールを維持することが難しい場合がありますので、グラベルロードとしてSILEXはたいへん合理的かつ機能的に設計されています。

また、下り坂では重心は前方に移動します。SILEXではこれまでお話したジオメトリ設計により、前転する危険性を限りなく減らし、安心して、安全に、快適に坂を下ることができるようになっています。また、平地でも身体のフォームに余裕があるため、色々な姿勢を作ることができ、その時々によって快適な姿勢を維持することができます。

ロードバイクの最初の一台に

パトリックが動画の中で喋っているように、SILEXには大変長いヘッドチューブを与えました。44サイズで160ミリものヘッドチューブは、メリダのレーサー系ロードバイクと比較した場合、50ミリも長いものです。実際には、スクルトゥーラなどのロードバイクに30ミリほどのスペーサーを追加してブラケットを握った位置が、SILEXでは下ハンドルの位置に当たります。つまり、誰もが下ハンドルをにぎることができるということです。

SNS上では特に、「下ハンドルを握れるようになる必要がある」と発言すると、思った以上に反論を呼ぶわけですが、ロードバイクのみならず、色々な自転車を40年乗ってきたぼくとして、「下ハンドルを握ることができない場合、安全走行実現のために障害となるので改善すべき」だと何度でも言います。絶対に必要です。メリダの開発グループも同じように考えていますし、基本的なロードバイクの乗り方を学ぶメソッド上でも同様です。ですから、SILEXではレーサー系ロードバイクのブラケット位置を下ハンドルの位置付近に設定するようにしています。SILEXでブラケット位置を握ると、その高さはサドル高とほぼ同じであるため、前方を捉える視野も広くなりますし、姿勢も楽になり、景色もよく見渡せます。はっきり言って、ロードバイクビギナーが低い姿勢を確保するメリットなどほぼ皆無です。また、ぼくくらいの年齢になったり、あるいは乗り方がレーシーではない場合、ハンドル位置を低くしていく努力をする必要性は極めて乏しくなります。

その他色々な使い方ができます

動画の中盤以降では、タイヤのサイズ、あるいはホイールサイズを変更することにより、色々な楽しみ方をすることができると解説してくれていますが、今回はその部分についてぼくは書きません。動画をみて、必要な方が理解してください。

もっとも重要な点は上に書いた通りで、大変ユニークでよく考えられたSILEXのフレームジオメトリにあります。こればかりは、言葉だけでは伝えきれませんので、MERIDA X BASEへ行ったいただくなどし、実際に乗って楽しんでいただくのが一番だと思います。

かなり軽くできている

カーボンフレームの機種ですと、このように9キロを下回ってきます…。自転車自体の大きさが大きいのに軽いので、同じ重量のレーサー系ロードバイクを持ち上げたときとはまったく違って、とても軽く感じます。軽量なMTBを持ち上げたときの驚きに似ています。

乗っても、ロードバイクというよりはMTB的な性格も持ち合わせているため、ハンドリングとペダリングが合わせて俊敏で、とても楽しく乗ることができます。SILEXに乗ったあとにロードバイクに乗ると、スムーズで速いんだけれど薄味で楽しさに欠ける感じがするはずです。

速く、遠くへではない、あたらしい世界へ

ロードバイクのセールストークとして「もっと速く、ラクに、遠くへ」というのがありますが、実際には速く走るには練習を継続する必要がありますし、ラクにというのは自己相対的なものです。自分にとっての全力は誰にとってもつらいでしょうし、そのつらさになれることがロードバイクを楽しむのに必要な要素だといえます。遠くへはたしかに魅力ですが、旅というのは果たして遠くへ行くだけが方法なのかどうか考えてみても良いと思います。

車で高速道路をどこまでもいくようなロードバイクでの走り方は、合理性と快適性を追い求める世界です。SILEXはより狭い範囲を密に楽しく走るという楽しみを求める世界ですから、MTBとロードバイクのまさに中間ともいえる楽しみ方ができるだろうと思います。

ぜひ、SILEXにご注目頂き、ご自身の遊び方や自転車選びの参考にSILEXを取り入れてみてください。また、ロードバイクの買い替えをご検討頂いている方には、SILEXというユニークな存在についてちょっと考えてみて頂けると面白いと思います。ロードがつまらないと思って、またロードを買っても、結局は同じことしかできません。状況を上向きに、楽しい方向へ持っていくには、SILEXのような新しい世界への扉を開く必要があるかも知れません。