[ コラム ] 違法なEバイクに加担しないために

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違法な車両が販売されているかも?

今回はちょっと注意喚起の意味、それから購入者自身の自己保身のための内容を基礎にし、私たちのような専門店が考えていること、また販売店の種別やパターンなどについて書きました。

法律について簡易に説明し、「いま、Eバイクが売れてます!」などとアピールを行うウェブサイトがたくさん作られています。その多くはアフィリエイトを目的にしたものです。つまり、広告収入が目当てです。Youtuberと同じです。ですから、いかにアテンションを集めて、広告収入を得るかということが目的ですから、製品の紹介に落とし込む段階においては、その製品に対する信頼や安心ということは度外視されるでしょう。

Eバイクのルールとは?

すでのご存知かも知れませんが、落とし穴もありますので、まず日本国内におけるEバイクを整理しますと、
 ・最高速度24キロでアシストが0になる
 ・0〜10kphまではペダルを踏む力1に対して最大で2の力でアシストすることが可能
 ・10kphを越えると、24kphでゼロになるまでだんだんとアシストが少なくなる
ということになります。

24kphで切れるというのは、わりと多くの人が知るに至っているわけですが、アシスト比率のところはあまり意識されていないようです。今回の落とし穴はここになります。

型式登録は義務ではない

電動アシスト自転車は1993年に誕生しました。原動機(モーター)がついているにもかかわらず、法律的に自転車として行動で利用することができるのは、型式登録というものがあるからです。ある決められた出力の範囲の原動機を搭載する場合、行動を走行できることは先程述べたとおりです。その範囲内に収まっているかどうかを試験し、国交省へ車両として登録を行います。無事に試験を通過した車両は、日本の法律内に収まる車両として担保されます。しかし、現在はこの登録は義務化されておりませんので、登録していない車両も販売することが可能です。

登録しないの製品があるのはなぜ?

登録が義務化されていない理由は、マーケットを拡げるためだと思われます。ある限られた、あるいはコストの掛かる方法だけではなく、少しでも低コストに販売することが可能な範囲を設けています。しかしその場合、車両が法律を逸脱しないかどうかはメーカー、代理店、販売店などの販売側に委ねられ、購入者はそれらを信頼して購入します。それなら問題ないだろう思われますが、現在までの実際の販売状況を眺めてみますと、明らかにテストを行っていないか、あるいは法律を逸脱しているであろう疑いのある車両も販売されているようです。つまり、販売店やメーカーが「大丈夫ですよ」という言葉をどこまで信じてよいのかということになります。

「お店で売ってるんだから大丈夫でしょ?」と思うのは間違いです。自動車やオートバイの世界を見て下さい、あるいは他も。ギリギリを狙うケース、あるいはわかっていて売るケースはたくさんありますよね。

登録するということは何を意味する?

先程も申し上げましたとおり、登録を行うということは使用者(購入者)が違法車両を利用してしまう可能性を限りなくゼロにすることです。まあ、公道を走るということを考えた場合、自動車でもオートバイでも同じことが行われていますので、当然だと言えます。その試験では、モーターが法律の範囲を逸脱していないかどうかだけではなく、フレーム、フォーク、ハンドルやサドルなど、あらゆるパーツ類の強度などもチェックされます。つまり、安全も担保されているということであり、問題はモーターだけではありません。もし、型式登録している車両を国が無作為に購入し、試験にかけ、アウトだった場合、その車両は全車回収となります。最悪です。つまり、その時点で即終了ということです。そのため、試験は厳密に行われますし、試験に出す車両は必ず通過するように努めて設計されます。メーカー側の立場にたてば、そうなるのは当然だと容易に理解できます。

落とし穴とは?

ここまで読んでいただければ、登録している車両に問題がなさそうであることは自明だと思います。問題になるのは型式登録を行っていない車両で、そこが玉石混交になっていることです。登録を行っていない車両がすべてアウトであると書いていないのは、よく読んでいただければわかるでしょう。そうではありません。問題はもっと複雑です。皆さんがよく聞くような大手自転車メーカーの製品も含まれますし、昨日今日に出てきたような新進ブランドも含まれるからです。大手メーカーでは国交省の試験ではありませんが、独自にテストを行っていることでしょう。それをあなたが信ずるかどうかです。ぼくは信じて良いと思いますが、少し心配もあります。

さきほど、試験に落ちることがダメージになると書きました。しかも、かなり大きなダメージになります。再試験を受ければいいだけではなく、設計のし直し、あるいはパーツの再手配など、とんでもないことになるわけです。ですから、モーターの部分に関しても、10kph未満に最大2倍を越えてしまったらたいへんです。Eバイクのモーターは、電気的な部分についての複雑な事情があります。バッテリーは気温の影響によって電圧が上下します。また、残量が多いときには電圧は高く、減ってくるとだんだんと下がってきます。最新のバッテリー技術では安定をさせることが可能になってきているものの、いろいろなバッテリーはありますし、まず一定にすることができない以上は、不確定な要素として考えておかなくてはいけません。

そう、実は最大2倍まで出るようには設計できないのです。1.9、1.8、あるいは1.7未満かも知れません。バッテリーチェッカーで市販のバッテリーを調べたことがある方はわかると思いますが、けっこう電圧にはばらつきが出ます。それが一台でも越える原因になり、それを試験されてしまえば、おしまいです。こう書くと、登録することがリスクに思えてくると思いますが、あくまで登録を行うことは公共性を大いに含んだ仕事だと言えるでしょう。日本国内でヤマハ発動機が最初に開発をした電動アシスト自転車の試乗をスポーツ領域に拡大するEバイクが、法律に関する問題で躓いたりすればたいへんなことになってしまいます。シマノのような、あるいはBESVのような、国内Eバイク市場の中心を担うメーカーが問題を起こすようなことになってはいけません。ですから、メリダ、ミヤタ、BESVはすべての車種について型式登録を行っています。それは、ユーザーの皆さんに安心して利用していただくためであり、日本の道路のことを考えているからです。
※上記3社以外にも登録を行っているメーカーはあります

非登録車両の話しに戻りましょう。非登録車両では無作為に拾われてテストをされるようなことは稀なので、最大2倍に限りなく迫る設計にすることも可能です。ですから、おおむね型式登録を行った車種群よりも”相対的にパワフルに”感じる事が多いだろうと思います。つまり、両者は同じ土俵に乗っているとは言えないのです。面白いから、パワフルだからそちらを選ぶか、あるいは法律を守れる安心を買うか、それは自由です。

しかし、もしはみ出てしまえば登録車両と同じく、全車回収となります。フレームやハンドルなどに安全面での問題があった場合も同じです。ただ、肝心なことはユーザーが安心して乗れるかどうかということではないでしょうか?安心して乗るには、違法車両ではないことが担保されている必要があり、安全性も確保されていることが必要です。その部分をメーカーやブランドのネームバリューやサービス体制により補うことが可能な場合もあれば、まったくもって不安しかないケースもあるでしょう。しかし、知識に疎いユーザーが見分けられるものかどうか、わかりません。一般的に”自転車に詳しい人”も、Eバイクに詳しいとは限りませんので、結構難しいと思います。ウェブで調べても、冒頭に書きましたとおりで目的が広告収入であれば、内容を精査しているかどうか不安だと考えるのが普通でしょう。

どこで買うのがアウトなのか

なお、昨年のサイクルモードで衝撃のデビューを飾ったあるブランドでは、この秋くらいに故障やトラブルへの対応を巡っての問題が多数発生し、店舗は閉業、生産を終了したようです。その製品に関しては、初見からぼくはいろいろな不安を伴っているだろう容易に推測できましたし、エンドユーザーの間でも一目で避けようという動きがあったのは明らかでした。しかし、それを販売する店舗はありましたし、一部のアフィリエターやYoutuberは「これは祭りだ、PVが稼げるぞ」とこぞって火に油を注いでいていましたし、まだそのログは残っています。彼らはひとびとの注意を引くことでお金を得る人ですから、まあそうなるのでしょうが、あまりにガイドラインが低いので驚きました。

また、現在も販売されている他のメーカーの車両においては、”そもそも法律をクリアできる設計になっていない”という話がぼくのところへ飛び込んできました。それは分解してわかってことですから、ぼくもまったくわからないままでした。そのメーカーの車両を利用する方が、どうも違法状態で走行しているだろうと推測できるケースは多々あったのですが、それは改造を施したケースだと思います。しかし、改造前からアウトだったは、たいへん驚きました。

同様のケースは他にもありそうです。最初に申し上げただんだんとアシストがゼロになる仕様は、日本独自のものです。これに合わせるのはコストの掛かることです。試験を行う必要があります。ですが、あくまで法律ですから、なんとなくあっているということでは困りますし、お金がかかるからと軽視されても困ります。そう考えますと、Amazonなどで購入するのはとんでもないことだと理解いただくことは容易でしょう。実際、アメリカでは法律に沿わない製品に改造するパーツをAmazonが販売していたことが大きな問題になっています。また、海外からの個人輸入も避けたほうが良いのではないでしょうか(そもそもAmazonで販売されるものも、海外発送品があります)。ある一部の国や地域に対する偏見ではなく、あくまで”絶対に違法ではない”と言えないからです。まあ、もし問題ないと判断する場合、よほど法に対してカジュアルに考えるか、あるいは軽視している場合でないと、ちょっと理解しにくいですよね。

それと、これは大穴だったのですが、大手自転車雑誌などにも掲載されたり、メーカー合同試乗会にも出展されているメーカーの製品の中に、明確にアウトな製品やかなり危ういものも含まれていることがわかってきました。これはほんとうに驚きました。実際、ぼくが試乗した車両では24kphを越えているのにぐんぐん加速していくものがありましたし、それを代理店の方は「公道で走行いただけます」とお話していました。これはたいへんなことだなと思いました。ということはですね、「知識のない方が”自転車専門店”で違法車両を購入してしまう可能性がある」ということです。もはや、なにをもって”自転車専門店”であるといえば良いのでしょう?

なお、自転車店でもいろいろあります。また、自転車店は登録制ではありませんし、許可制でもありません。アパレルや飲食を営む傍ら、自転車を販売するということも、降ろしたり輸入したりすることも自在に行なえます。これが何を意味するのかまで書きませんが、それぞれのユーザーの方がどこで買うかを決める際に考えるべきことかと思います。

どこで買えば良いのか

これははっきりしています。
 「当店です笑」
これは冗談であり、本気です笑

内容としては、
・型式登録をしている車両を購入する
・未登録でも、せめてトップブランドから選択する
これで良いでしょう。

新興ブランドの未登録品は避けた方が安心できそうです。ぼくは不買を訴えているわけではありません。あくまで何を買うか、法に対してどう考えるかは、ひとりひとりの自由な判断による結果責任を伴って行われることだからです。ぼくが強制できるわけではありません。ユーザーはあくまで主体的に、自分がどれを購入し、利用するかを考えるものです。まあ、怪しい製品を容易に販売してしまう販売店については、避けたほうが良いかも知れませんね。

ご自身で判断を

最後は自分で判断いただくことになります。

ここまで読んでいただいても不安な方、あるいはわからない方は、そのまま購入するのは危険なのではないでしょうか。相手は法律ですから…。

ご不明点やご不安があれば、当店へお越し下さい。
ご説明申し上げます。
その上で、あなたのEバイク選びをサポートいたします。