メリダの新しいREACTOの試乗インプレ

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REACTO TEAM[CF4]
1100,000円(完成車)
339,000円(フレームセット)

[REACTO TEAM]
まずはリムブレーキバージョンから乗りました。

既に各所で「コンフォータブルである」と書かれているのは目にされると思いますが、どこでどう処理しているかという部分が巧みだと感じました。2017年のリアクトも充分にコンフォートでしたが、それ以上の2018モデル。単に一部をしならせたり、ある機構によって吸収しますというより、シートピラーやシートステイなどそれぞれの部分によって役割が違う所を上手に組み合わせてきた感じです。とてもナチュラルで、フラットな乗り味。

コンフォータブルという意味ではスチールが槍玉に挙げられるますし、これまでにも乗り心地が良い事をターゲットにしたメリダのRIDEシリーズなどもあるわけですが、その性能を出す為に剛性を犠牲にしたり、レスポンスを犠牲にしたりするしかありませんでした。よく見るような六角形の性能グラフがあればある部分を尖らせると、他の部分は凹んでしまうのが普通でした。私はこれまで沢山の自転車を乗ってきましたが、これだけのレース性能を持ちながら、これほどフラットな乗り味の自転車は今まで体験したことはありません。

それらのバランスが想像以上にハイレベルなので、「こういう自転車は無かったな…」と次世代のロードレーサーと言っていい印象を受けました。

”リアクトは平坦用”などと言う方もいます。決してそうでは無いと思いますが、速いケイデンスでの走りや繰り返しの加減速、あるいは重量でのハンデによって、そう感じた傾向はありました。2018年モデルに乗って思ったのは、これまでロードバイクはエアロロードバイク、オールラウンドロードバイク、コンフォートロードバイクという区分けだったところが、エアロロードバイク、クライミングバイク、グラベルロードバイクとなるようだということです。

これまでネガティブだった点が消えました。
■ 重量はフレームセットで350gも軽くなりました
■ エアロロードが持っていただるさ、モッサリ感がありません。もう普通のロードです。
■ 振りが軽く、立ちこぎも軽快感とバネ感を発揮していい感じ

つまり、もはやエアロロードは普通のロードバイクに進化してしまいました。

ジオメトリ上ではBBが下がっているのですが、BBの位置だけで判断するのはお薦めしません。あくまでも自転車の乗り味は全体で出すものだと思います。

もちろん、平坦での踏み方へのフィットは更に上質になっているので、ギュンギュンでもスイスイでもなく前方に吸い込まれる感覚。リアクトに試乗した方が皆さん感じる、あの「あ、速い」という感覚がさらにさらに進化しています。

エアロロードにはディープリムという乗り味のイメージがあると思うのですが、この新しいリアクトはそのイメージではなく普通にチョイスしていいのだろうと感じました。

これはエアロロードというより、スーパーロードバイクです、


REACTO TEAM DISK[CF4]
1200,000円(完成車)
369,000円(フレームセット)

[REACTO TEAM DISK]
リムブレーキからディスクブレーキへ、この転換点が2018年になるという予測通りでした。

メリダはリムブレーキバージョンとディスクブレーキバージョンで同じ乗り味を目指して開発しています。

とはいえ、違って当然です。それが実際にどう違うのか?を確かめてきました。

リムブレーキバージョンと比較すると、ホイールの軸付近から強さを感じます。リムブレーキバージョンがややフワフワしたように感じるほど、ディスクバージョンは強い感じがします。恐らく、太くなったアクスルや広がったエンド幅によるところでしょうから、マウンテンバイクでのそれと同様でしょう。ホイール、特にリヤはスポーク本数の増加であったり、あるいは半ドライブ側の剛性強化であったり、それによってホイールの剛性も上がっている感じがします。リム幅の拡張もそれに加担しているだろうと思います。

それでもメリダは上手く作っていると思います。フレームの踏み味自体はほぼ同じで、比べても分からないレベルだろうと思いました。今後、ホイールがディスクブレーキに特化して、それらのフレームへの組み合わせに順応していくと、さらに良くなっていくのだろうと思います。ただ、個人的には現在のリムブレーキ仕様の乗り味になるとは思っていません。

そこはあくまで”標準が変わった”と思うしか無いだろうと思います。むしろ、アクスルとエンド幅が進化したことで、タイヤ幅の拡大が欠かせないでしょう。それとチューブレスタイヤですね。フレーム側は強く進化し、タイヤもその強さを路面に伝えるという方向です。かなりマッチョなイメージになりますが、これが次の時代のロードバイクになるだろうと思います。今の時代から見れば抵抗感があると思いますが(私もです)、過去に遡ればこのようなことは何度もあったことですから、5年後にはみんな乗っているだとう思いますし、10年後には「これが普通でしょ?」というくらいに慣れているでしょうね。人間の感覚って敏感で鈍感ですから。

ロードバイクはしなやかで、バネがあって、人間力をムダにしないように…という従来のロードバイクのイメージは、古くはスチールだったりという時代から育まれてきたものですが、すでに10年ほど前の段階でそのイメージは崩れています。20年以上前から自転車に乗っている人からすれば、今のカーボンバイクも既に充分に強いものですし、まだ慣れていない人もいます。

ですから、今回の変化に関してもあまりネガティブに徹するのではなく、逆にポジティブ過ぎるのでもなく、あくまで時代の変化に対応していくことが必要なのではないかと感じました。

今年発売されるリムブレーキモデル、特にトップグレードは、一つの時代の最後を飾る最終形態となることでしょう。それに価値を感じるか、来るべき時代へ先んじて突入するか、それはアナタ次第です。


REACTO 8000-E[CF4]
750,000円(完成車)
329,000円(フレームセット)

[REACTO 8000-E]
フレームはCF4、コンポーネントはアルテグラDi2、ハンドルもホイールもTEAMモデルと同じなので、乗っても同じですね、それだけです(笑)

TEAMモデルよりお買い得感マシマシ。


REACTO 6000[CF4]
449,000円

[REACTO 6000]
CF4フレームにノーマルハンドルとステム、ホイールにはフルクラムのQUATTORO 35を装備しています。

TEAMモデルにはVISIONのホイールとステム一体式ハンドルを装備しているのですが、これは圧倒的に平坦仕様を具現化したものです。乗り味もそのように感じました。あくまでアイコン的に作り上げた仕様だろうと思いますので、いわゆるロードレースで使う仕様ではないと思いますし、実際にバーレーンメリダでも使っていません。オールラウンドに使う仕様にするには、この6000のようにするのが良いと思います。

実際、この6000の乗り味は非常に軽快でした。シッティングではスイスイ進みますし、重たいギアにいれるとリアクトらしい速さもあり、それでいてサドルから腰を上げると軽快にダンシングで進む感覚までするので、「ナニコレ…」という総合性能の高さ。

TEAMモデルでは重たく感じた登りや瞬間のレスポンスもこの6000に乗ったことで「やはり、このフレームの良さはこっちの方向だ」と確信。

QUATTORO 35は初めて使ったんですが、悪くないですね。これは使えますから、このままでも全然OKです。ホイールを買うのは落ち着いてからでOKです。ゆえ、この6000はカラーが嫌いでなければとてもお買い得でしょう。

エアロロードをエアロロードとして広告している一方では、まるで普通のスーパーロードバイクに仕上げているメリダ、流石ですね…。


REACTO 5000[CF2]
289,000円
REACTO 5000[CF2]
289,000円

[REACTO 5000]
5000グレードはCF2フレームになります。これまでよりヘッドチューブが伸び、アップライトな姿勢を確保することが出来るようになったので、一般のサイクリストには乗りやすくなりました。44サイズの追加もすばらしいトピックです。ジオメトリやライダーに求めるスペックはスクルトゥーラCF2シリーズと同様ですので、「エアロロードだから、自分には乗れないんじゃないか?」という遠慮は無用になってます。

乗り味はCF4の弟分だということがしっかり分かるものです。エアロロードらしさはポジティブでもネガティブでもありました。それは薄まり、バランスが良くなりました、もはや普通のロードバイクです。重量的なハンディもありません。

平坦でよくある、やや大きなギアに掛けてのスピード感はCF4ライク。一般サイクリストはCF2を選択したほうが良いでしょう。相対的な剛性が低いことも理由ですが、ペダルにしっかりパワーを乗せないとCF4は不安定に感じるかも知れません。それくらいCF4はレスポンシブルです。CF2ではその部分をスポイルすることで、ペダリングに疲れたり、あるいはライディングスキルが不足していたりする場合にも安定したペダリングへの手助けをしてくれると思います。超軽量バイクが不安定に感じるのは、その直進安定性の無さにも因るわけですが、その違いのようです。

CF2フレームはとても乗りやすく、速さを感じ、またコンフォータブルですから、2018年シーズンに購入できるロードバイクの中では相当にスペシャルなものだろうと思います。反面、価格面ではトップクラスのバリューを提供できますので、この新しいリアクトを買わない理由はないだろうと思います。


REACTO 4000[CF2]
249,000円

[REACTO 4000]
5000との違いは部品だけ、フレームは同じCF2です。乗った感じは5000と変わりありません。

もう1色あるんですが、写真を撮るのを忘れたくらい、このバーレーンメリダカラーが美しかったです。


REACTO 4000 DISK[CF2]
289,000円

[REACTO 4000 DISK]

さて、ミドルグレードのディスクモデルです。CF2フレームにもディスク仕様があります。

CF4同様にフレーム自体のフィーリングはリムブレーキモデルと同じくしているようです。ただ、チームモデルと比較してパーツにコストが掛けられない価格帯なのでディスクモデルから感じるネガティブが強めになります。

ですが、安定した制動力は重量などのハンデを忘れるほど大変にすばらしく、印象的です。一度でもこれに乗ってしまうと、ビギナーであるほど、あるいはライディングスキルがない人ほどありがたく感じるでしょう。

この価格体でグッドバランスを提供できるパーツが間に合っていないだけなので、後々ホイール、STIレバー、ブレーキローターを交換することで満足できるフィーリングを得られるだろうと思います。これらはあくまでタイミングの問題なので、仕方がないでしょう。

じゃあ、リムブレーキ仕様が無難なのか?というとそれは人ぞれぞれです。既にホイールを持っていたり、2台目以降だったり、乗り換えであれば、もう数年はリムブレーキを引っ張っても良いかもしれません。