さて、ここでもう一度ディスクブレーキロードについて整理してみましょう

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何度も何度も書いているディスクロードについての話題です。

2018年は「ディスクブレーキ元年」になると言われていますので、そのキーポイントを整理しておきます。購入の際の参考にしてみて下さい。

2018年は導入する人が多い年になりますが、それが多数を占めるのは2020年頃だと思われます。以下に書き出すような疑問点があり、それらを解消するには時間も必要です。それらが熟す頃は2020年モデルあたりだと私は考えます。ただ、そこまで待つことだけが全員にとっての良い選択ではありません。それぞれの用途や状況に合わせて、選択することが必要です。

我慢するか、不要だとするか、今買うか、その判断をするにあたって一般的に思いつく項目をQ&A形式にして書き出してみました。

Q:メリットは?
A:ブレーキが効くことです。自動車でも効くブレーキは安心材料になります。初心者であるほど、乗る人のスキルが不足するほど、機材が持つブレーキ性能は高く評価され、その有用性は必要とするレベルにまで達するでしょう。

Q:デメリットは?
A:システム全体で約700gの重量増、フレームの熟成度合い、価格

Q:重量増について詳しく
A:現在までにリリースされたディスクブレーキ用ホイールを見ていくと、前後で1500〜1600g程度(例:SHAMAL ULTRA DB 2WF)が最軽量の部類になります。ただ、ディスクロードではディープリムを装備する人が多くなると思いますので、一般的には1700g程度(例:ZONDA DISK DB)も考えられるでしょう。ゆえ、リムブレーキではペアで1500g程度のホイールも買いやすいコストで入手でき、それを含む完成車重量として7.5kg程度を実現することも難しくありません。しかし、ディスクブレーキモデルでは7kg台の実現にはそこそこ大きなコストを割く必要が出てきますので、おおよそ8〜9kg程度が一般的なラインになると予測できます。それでも非レースユーザーにとっては、安全装置としてのブレーキ性能と天秤にかけられる範囲ではあるでしょう。

Q:フレームの熟成とは?
A:同じ車種にリムブレーキモデルとディスクブレーキモデルがある場合、それらは全く同じ性能ではありません。基本的に今は、リムブレーキモデルを開発する過程から分岐させるため、ディスクブレーキに特化した開発を行うことは出来ていません。ゆえ、その乗り味をどこまで同一のものに出来るかは、それぞれのメーカーにより異なります。ただ、これからロードに乗る人に関して言えば、リムブレーキモデルを知る必要があるか?と聞かれたら、「無い」と思います。

Q:乗り味について更に詳しく
A:ディープリムになるとスポーク長が短くなります。更にワイドリムを装備した場合、ホイールシステムの剛性は30%程度上がると予測できます。リムブレーキに比較して、スポーク本数も増える傾向です。ディスクブレーキが発揮する応力に対して、フレームも強くなると思いますので、2018年モデルで注目すべきは、それらの剛性バランスをどのように調整してきたかという点になるでしょう。かなりいい線になっていると思います。

Q:価格について
A:一般的にはリムブレーキモデルより高くなる傾向です。ただ、それほど大きな増にはなりません。

Q:メンテナンスが大変なのでは?
A:マウンテンバイクでディスクブレーキを使用したことがある人であれば、それが無用な心配であることはご存知だろうと思います。ただ、それはシマノのディスクブレーキシステムの圧倒的な信頼性の上に成り立つものであって、他社のブレーキシステムにおいてはコスト増になるケースも少なくないでしょう。マウンテンバイクでブレーキフルードがかなり汚れた状態であっても、2年位放って置いても、それでも一応使えているシマノは圧倒的です。もちろん、お店の世話にならず独力でメンテナンスをすることは難しいでしょうが、ワイヤ式でもそれをするのはマニア層だけなので、一般論では特に気にする必要はないでしょう。当店におまかせ頂く分には関係ありません。

Q:お店の人でも色んな意見が有るようですね
A:そうですね。マウンテンバイクに乗らないライダーに関して、それがお店のオーナーやスタッフである場合、彼らがディスクブレーキに対してまずネガティブな感情とイメージを持っています。それはユーザーに説明する際にも発揮されますので、当初は積極的ではない勢力が大きいだろうと思います。

Q:ディスクブレーキは要らない?
A:いいえ、そんなことはないでしょう。むしろ、必要です。安全装置としてのブレーキは効く方がいいに決まっています。

Q:レースをしないからディスクは要らない?
A:いいえ。2017年のツール・ド・おきなわでも使用禁止ですし、多くの国内レースではまだ使用が認められていません。つまり、”レースに出る人はまだ買う理由がない”というところが実際です。

Q:プロチームでも使っていませんね?
A:ツールでのキッテルの勝利もありましたが、彼はそれ以降のステージは使っていません。つまり、プロモーションだろうと予測できます。しかし、選手は使えと言われれば使うしかありませんから、そのタイミングが来るかどうかは時間の問題でしょう。それは決して選手軽視ではなく、仕事ですから提供された環境にフィットすることが出来るかどうかもその選手の能力の内です。

Q:ディスクローターは危険ですか?
A:一部報道されたようにシューズをカットする事はありえないでしょう。ローターは回転ノコギリではありません。回転しているローターに指を突っ込めば危険ですが、走行中にそれは起きないでしょう。心配なのは、制動後にローターが加熱されることです。万が一触れれば、”ジュッ”と音が出るほどに熱せられますので、パンク修理などに際してローターが冷めるまで触れてはいけません。輪行の際にも、停止後しばらく冷めた事を確認してからの作業になります。大変不便に思うかも知れませんが、何度か経験すればすぐに慣れますので大丈夫です。

Q:今後はディスク仕様車種が増える?
A:そうなります。あるメーカーのあるシリーズでは、既にリムブレーキモデルが廃止されています。リムブレーキのロードはなくならないでしょうが、エンデュランスや普及価格帯ほどディスクオンリーになる可能性はあります。

Q:今年からロードを買うんだけど、どっちがいいのか?
A:買って2年後を目安にしてディスクロードに乗る人は増えることでしょう。また、完成車を買った後にホイールを買う予定があれば、早くて2年後遅くとも5年後にそのホイールはレガシー(遺産)になってしまうことでしょう。ですから、もしあなたが新製品好きで、新しいバイクに常に興味があるならば、むしろリムブレーキモデルを買っても損はしません。

Q:それでもリムブレーキに乗り続けます
A:そういう方もいるでしょう。しかし、一緒に走っている友人がディスクブレーキロードに乗り始めたとして、その日は突然の雨が降ってきたとします、あるいは沢山走って疲れていたとします。「あ〜、ディスクって少ない力で安定して止まれるし楽だわ〜」と隣で繰り返し言われても意地を張っていられる人は、それほど多くないだろうと思います(笑)

Q:これからロードに乗り始めるにあたって、リムブレーキのロードを体験しておいくメリットは?
A:無いと思います。相対的に効かないブレーキを知るメリットはなく、またフレームの乗り味も比較する必要はないでしょう。

Q:レースに出たいです
A:当該レースのレギュレーションを調べましょう。許可されているなら使用可能です。集団内での危険性を示唆する方もいますが、私はそうは思いません。

Q:ヒルクライムによく出ます
A:もし、今乗っているバイクがリムブレーキモデルでそこそこ軽量なタイプであれば、エアロロード&ディスクのバイクを買い増せば解決できます。使い分けましょう、両立は現実的ではありません。

Q:ツーリングやロングライドがメインです
A:それらの用途では市街地をよく通過します。その場合、ストップアンドゴーが多く、ディスクブレーキにより少ない力で容易にブレーキング出来る事は、大変なメリットとして感じるでしょう。疲れている場合はより顕著に表れます。

Q:ブラケット位置でのブレーキングがしやすくなりますね
A:そうですね。その状態でも制動力を発揮させやすくなります。しかしながら、下りなどではブラケット位置で操作をすることは難しいので、いずれにしても下ハンを持つ必要があるでしょう。その際に大事なのは、R9100とR8000のレバーに装備されたリーチアジャストとフリーストローク調整でしょう。

Q:雨の時は乗りません
A:乗らない理由がブレーキなら、乗れる時間が増えそうです。また、晴天時でもメリットを感じられますので、雨で乗らないからディスクブレーキのメリットを感じにくいということはないでしょう。