今だから言える話

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みんなが知っている話ではありません。メリダの主要ディーラーの中でも限られた人しか知らないのではないでしょうか?そのタイミングでは絶対に言えないことだったのですが、そろそろお話して良い時期ではないか?と勝手に判断しました。

メリダのリアクトに関するお話です。

2015年2月、シーズンが始まる前、ランプレメリダチームは新しく加入したクリス・ホーナーと世界チャンピオンを獲得したルイ・コスタを揃えて新しいシーズンが開幕するタイミング。

スポンサーであり機材サプライヤーでもあるメリダから、2015年シーズンを戦うために用意された新しい機材は2種類、これまでからあるスクルトゥーラと新しく開発されたリアクトでした。

エアロロードと言えば、登れないバイクだと印象づけられていた私は、昨年のような感じであろうと思っていました。

2014年シーズンについてはペタッキとポッツァートという二人にのみ供給されたリアクト。これは、”エース”という意味ですが、2014年までの”イタリア色の強かった”ランプレだからということ。この時にはプロモ色の方が強かったわけです。バイクもまだ未完成。試乗することは出来ませんでした。

他メーカーのエアロロードをいくつか乗ってきた私は、それらから受けた印象=エアロロードであると、典型的な物指しでしか見ていなかったわけです。まぁ、それも当然だと思います。リアクトほどまるで普通に乗れるエアロロードが存在していなかったのですから。

そして開発陣は2015年の本格導入に向けて、さらなるブラッシュアップを行います。

マヨルカ島に到着し、レースのサポートかーに積まれていたのは全てリアクトでした。
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これをみて「うわ、全部リアクトじゃないか」と私。スクルトゥーラは?と探してみますが、一台もありません。「なるほど、これはプロモーションなんだな」とその場で勝手に理解した私。

メリダはマウンテンバイクXCチームのMULTIVAN-MERIDAにも同様の対応をしているのですが、どの選手もなんの制限もなく機材を選択する権限が与えられます。一部、特別なプロモーションをした場合を除いてです。基本的には選べるということです。

この時点で翌年にスクルトゥーラがモデルチェンジすることは分かっていた(もちろん、計画していたのですから)わけですが、この時の一件によって一年早く”退役”させることになります。それが今回のお話というわけ。

メリダがランプレ・メリダの選手一人一人に選択権を与えた結果。

全ての選手がリアクトを選択し、一人としてスクルトゥーラを選択することはありませんでした。限られた超級山岳でだけ使うかもしれない、その程度でした。

日本では”クライマーだと思われている”クネゴもリアクトを選択。一般的には驚かれるかも知れませんが、彼にとっては当たり前の選択だったのです。

なぜって?
それはロードレースをするからです。

ロードレースは登りもあれば下りもあります。激坂という表現もありますが、そのような事があるレースはグランツールの中の一部のステージだけです。そして、そのようなコースで活躍する選手は限られた数名となります。

「石畳でサスペンションを使わないんですか?」
という質問の答えと同じ。

ロードレースの中で”一般的にイメージをするヒルクライムするチャンス”は、1シーズンの中の数日程度だけというわけです。多くて10日程度でしょう。

ロードレースはロードレース用の機材を選択することが正解だという、言われてみれば理にかなった現実です。

開発陣としてはまさに”嬉しい悲鳴”。そこまで評価されるとは思っていなかった。つまり、スクルトゥーラを選択するライダーがもっといるのではないか?と思っていた。

しかし、ほぼ10対0という結果だったのです。

そして、2015年モデルのロードシリーズプレゼンテーションが始まりました。我々に向けて送られた一枚目のスライドはなんとコレでした。

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”もう、旧いスクルトゥーラは要らない”

もう衝撃でした。笑ってしまうくらいに。「いやいや、まだ今年売るんだけど…」って(笑)。他メーカーのバイクも開発が進む中で、今のスクルトゥーラでは戦えないことは明らかでした。そこから始まったリアクトの開発。結果的には、狙い通りでした。

この後、現在の皆さんがご存知のように進化したスクルトゥーラが2016年にデビュー。更なるスピードを更に手に入れつつ、軽量になったスクルトゥーラです。

さあ、これでランプレメリダの選手やブリッツェンの選手達のほとんどがリアクトを選択する理由がわかったのでしょうか?また、これはプロモーションではなく、本当にそれを選んだということもお分かり頂けたのではないかと思います。

それから、リアクトは”直線番長でもなく”、”登りが不得意”なわけでもありません。走るスピード域によって、必然の選択をしただけというわけです。

この後我々は、実際にリアクトを試乗して、彼らがなぜそれを選んだのかを身を持って知ることになりました…

新型スクルトゥーラはこれまでよりもロードレースのレーススタイルにより対応した、しかし登りが得意な人に向けたバイクに生まれ変わっています。単なるクライミングバイクではない、スクルトゥーラは今年一番の注目になっています。

ちなみに、最後にフォロー?しておきますが、チームモデル以外というのはそこまで極端に性能を振るということをしていません。ゆえ、CF2フレームのスクルトゥーラに関してはこの話の外だとご理解ください。あくまでチームモデルの話です。

さぁ、あなたはどちらを選択しますか?

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