最適なドライブユニットとトルクと遊び方

それぞれに得手不得手がある

林道探検をシマノ STEPS E8080、GIANT SYNCDRIVE PRO、SPECIALIZED SL1.1が揃った状態で比較してみました

今回は予めルーティングした林道をトレースしたり、新たなルートを探索するという目的。それを3種類のユニットを積んでEバイクで行った結果感じたことを書いておきます。コースは頻繁に15%を越える坂が登場したり、最大斜度は20%をゆうに越える、そんな地形です。

距離:56キロ
獲得標高:1230m
移動時間:4時間
経過時間:6時間
推定平均パワー:78W
消費カロリー:1232kcal
平均心拍:109bpm
最高心拍:149bpm

走行データだけで見ればかなりの山岳コースですが、身体データはまるでサイクリングペースだとお分かり頂けるかと思います。これがEバイクの良さです。

決して運動になっていないということはなく、普通の人が運動だと感じる程度の強度を数時間に渡って維持できています。これ以上の強度設定をするなら、それはペダルバイクに乗るべきですが、このルートをそれでは走破出来ないでしょう。

ただ、それにはその人の体力や脚力に必要なだけのドライブユニットを積んでいる必要があります。

やはり強力でエコなシマノSTEPS

私はSTEPS E8080を使い、ほぼ全域でもっとも弱いECOモードにて走行しました。私にはそれでちょうどよい感じです。15-20%を超えるような場所ではNORMALやHARDに切り替えましたが、10%前後ならECOで十分。しかし、同行者の中にはNORMALからHARDを常用していた人もいます。

STEPS E8080やGIANTでは75-80Nmという強力なトルクを発生させることができるため、バッテリー消費を抑えつつ、爽快にラクに楽しく長く、そして自由にどこでも走ることが出来ます。Eバイクツーリズムを堪能できるだけのスペックだと言えます。それに対して、SL1.1は最大35Nmと半分程度のトルクしかないため、ペダルバイクと同じくらいゆっくり登るには楽ができますが、それ以上速く登ろうとするとトルクが足りないようです。

TRANCE E+ PROはバッテリーの重量が過剰なので、前後バランスがかなりフロントによっています。ドライブユニットが発生させるトルクはもっと強力で、ハイモードやターボはとにかくラクをしたい方に向いています。しかし、”自転車らしい部分”、例えば取り回しの良さや軽快さのような部分については欠けている機種です。ある程度高齢の方などが、バイク任せに林道を走ったりするのには良いと思いますが、未踏のトレイルとなるとフロントヘビーな部分がちょっと気になります。急にフロントを上げたくてもまず上がりませんし、僅かなドロップオフでもフロントから落ちるので怖さがあります。

バッテリーの持続性もシマノSTEPSやGIANTが優位で、特にトルクの太い機種ほど優位になります。SL1.1の場合、脚のある経験者が”意図的にケイデンスを落とすなど経済的な走行をする”必要があるので、ビギナーや中高年が自由さを満喫するには不向きです。今回のようなコースでアシストを強めにする場合が増えるほど差が付きます。つまり、急坂でのスピードに大きく差があり、またバッテリー面でも同様の差になると分かりました。ちなみに、私がeBIG.NINE 400で今回のコースを走行した後では、バッテリーは3/5メモリ残っていました。つまり、もう一周できそうです笑が、身体が持ちません笑

ちなみにあまり知られていませんが、シマノ STEPSではバッテリー部分をオープンにしているので、サードパーティがとても軽量で低用量のバッテリーを開発したりすると、一気に軽量Eバイクになってしまうポテンシャルを持っています。

Eバイクを買うなら?

ゆえ、両者は別のジャンルのEバイクだと分かります。私が乗るならばケイデンスを85-90以上に保つことが出来ますし、また常時150-180W近くの入力を行った登坂もすることが可能ですから、SL1.1でもそれほど不満なく走れそうですが、15%を超える登坂になると一気にトルクの華奢さが表れ、やや修行味を帯びてきますし、息も上がります。ゆえ、「SL1.1はEバイクの未来だ」というのはフェイクで、正しくは「ノーマルバイク(ペダルバイク)の未来がSL1.1型」なのだと読めます。きっと、スペシャはローエンドとハイエンドを除く全てのバイクにSL1.1やその進化系を搭載するつもりではないでしょうか?また、他者でも同様に開発を行っているだろうと予測できます。

つまり、あくまでも”自転車は辛いものだ”ということを受け入れることができる方や、現在進行系でロードやMTBやCXやグラベルに割とガンガン乗っている人”でも楽しめる”がSL1.1、自由にラクに走りたい人にはSTEPSなり、BOSCHなり、一般的なEバイクがマッチします。

ただ、「自由にラクに走る」ことを前者の方も楽しめるので、それは要注意です。私が実際にそうですからね。

私の選択は「そこそこの値段を出してEバイクを買うなら、より自由を味わえるバイクが良い」ということで、STEPS(Eバイク)となります。

Eバイク選びは車選びにちょっと似ている

普段から自転車でそこそこ踏み慣れていない方や登坂を不得意にする方の場合には、SL1.1だとラクには感じにくいと思います。欲言えば”自然なアシスト”ですが、多くのあまり運動を得意としていない方にとっては、”明らかに不足がある”と感じるでしょう。あるいは他機種と比較してバッテリー消費を加速させるでしょう。ゆえ、行動範囲やルーティングには相対的な制限が生じます。

STEPS E8080に対してはグングンをスピード差をつけられてちぎられてしまう状況になります。あくまでも、これまでのペダルバイクにちょっとだけアシストを加えた程度のジャンルです。今回のような用途でも人によっては使えますが、”自由自在に、何も気にせずラクをして走り回る”ならSTEPS E6180かE8080を選ぶべきだと思われます。

高速道路を使って青森までドライブをするなら、それなりのパワーと燃料タンクにもそれなりの容量を装備したクルマから選ぶと思います。買い直すのは大変ですから、Eバイクを使ってやりたいコトのスケールを推し量っておき、それに事足りるポテンシャルを持ったEバイクを選ぶ必要があります。

Eバイクの重量は軽いほうが魅力的だと書かれているケースもありますが、実際にはそうとばかりは思えません。Eバイクのメリットとして、重量がある程度あるからこそ安定するということも言えますし、私もそう感じます。また、そもそも”下りでバイクを振り回してアグレッシブに乗る”ことをどのくらいの割合の方がするのか?という事も言えます。また、強力はトルクと大容量バッテリーがあれば、バイクの重量は気になりません。むしろ、軽量にするためにその両方を削って非力にしてしまっては、必要な機能を削り取られてしまい、目的達成に対して後退してしまうこともありそうです。

ペダルMTBとE-MTB、あるいはロードバイクとEバイクには、それぞれに最適なルートや遊び方が異なります。バイクを縦に積極的に動かさないと楽しめない(ジャンプを伴うような)コースにE-MTBで行くこと自体がミスマッチでもあり、楽しみが半減して当然です。体力と食料が続く限り林道をひたすら探索する用途に対してバイクの軽量性は優先されないとも言えます。

普段から自転車に乗る方の多くは「上りをもっと速く登れたら…」という願望をお持ちだと思います。それは決してレースで速く走りたいというものではなく、もう少し”自転車で”爽快に登坂したいというものだと思います。STEPS E8080やE6180により12-15km/hくらいでスイスイ登ることができるなら、爽快でラクに楽しく走ることができるだろうと思います。SL1.1はあくまでもロードバイクやMTBをちゃんと乗れる方が対象であり、その上で”ほんのちょっとだけ楽ができる”というジャンルです。あくまでもコンペティティブなスポーツであり、普通の人がレジャーで使うものでは無さそうです。レーサーが書くインプレには「とてもラク」だと書いてあることでしょうが、むしろ「Eバイクが欲しい」と思う方向けではないだろうと思います。

Eバイクに求めるものが、”Eバイクだからこそできる体験をする”というものであるならば、やはりバッテリー容量は大きいほどよく、ドライブユニットのトルクも強力なほどよいだろうと思います。少なくとも、500Wh、65Nmくらいはあったほうが良いでしょう。むしろ、そこそこのレース経験者がこれまで走っていた山を少しだけラクに走り、速く豪快に下りたいというものであれば、軽量なタイプがおすすめです。なぜなら、そもそもEバイクを欲していないからで、目的が異なるからですね。

ただ、現在では多くの店舗やメディアも含めて、Eバイクで遊んでいる人が私の周辺を除いてほぼいない状態ですから、既存の自転車感の中で想像しているに過ぎません。きっと、頭走っているコースをEバイクで走っては、首傾げているのではないでしょうか?あるいは全く想像できず、魅力を理解できないがゆえ、軽量性に未練を感じているがあまり、新たなフィールドに出るポテンシャルを捨てかけている可能性もありますから、そこは要注意だと思います。


遊び方がわからなかったり、悩んでいたら、遠慮なく相談に来てください。

Eバイクとペダルバイクの関係性、近未来への開発の模様、過去の歴史や他者との比較などを交えて、きっとバイク選びに悩んでいる部分を解決できると思います。