工場が同じだから

ボヤキのようなコラムです

たまに聞くんです。たまにじゃないかな?しょっちゅうかな?笑

「〇〇は△△と同じ工場なんですよね?」
「〇〇は△△と同じ工場だから、△△と同じ中身で安くていい」

というやつですね。

これらを聞くと、「???」と思います。一部の販売店さんの中には、むしろ同じような話をネタにして顧客に売り込みをかける場合もあると思いますし、メディアによるテキストの中にも発見することが出来ますが、私には理解しにくい部分がありますし、様々な事情に忖度する方々は書けない内容でしょうから、私が今回のコラムを書くことにしました。

MERIDAはもともとOEM生産を請け負うことから始まり、その後自社ブランドを構築し、今や安いことではなく、立派なブランドとして、あるいは性能で選ばれるメーカーにまで成りました。

これと先程の話を、”OEM元の製品は良い(価値が高い)”という同じものさしに置くのは違うと思います。

ある工場で管理しないと適当なものができあがります。開発の段階を省き、ディテールの詰めを省き、テストもままらず、それらを概ねスルーすることで安くなるわけです。しかし、ちゃんと管理してあげるコストかけると有名メーカーに卸せるものができます。同じ工場でも、高いものは高いコストをかけて作られますので、工業製品として優れたものになり、その価格なりの価値を含みます。自分が請け負う場合で考えれば明白です。100万円貰える仕事と、10万円しかもらえない仕事なら、同じ人でもクオリティは全体的に下がります。製品の価格はほぼ人件費の総和ですから、工場が同じ事で何も保証されません。

以前は欧州メーカーと比較し、アジアや米国メーカーは概ね安物として理解されていました。高いものを作っても、その価値を認められることはありませんでした。その後、欧州メーカーのおおよそが凋落し、その起点として台湾による世界戦略があり、もはや台湾が自転車界を牛耳ってしまった後の現在において、生産効率の悪化による高コスト化が欧州メーカーのスタンダードとなり、台湾メーカー2社の価格が適正化された合理的なものとなりました。つまり、リーダーの変更とともにプライスリーダーもが入れ替わりました。よって、欧米メーカーの多くは台湾2社の価格設定に合わせざるを得なくなっています。これが現在の自転車に関するファクトです。

話を戻します(進めます)。つまり、台湾2社はOEM請負による生産技術の向上とともに、管理能力向上による、不良品を作らない仕組みとその自動化、必要なものを必要なときに必要なだけ生産するジャストインタイム、その根底では徹底した無駄の排除を行いました。これはトヨタ生産方式によるものです。

話をクルマに置き換えましょう。トヨタを代表とする日本メーカーのクルマは誰にでも薦められるものだと思います。クルマに興味がない方なら、迷うことなく日本車を買うことでしょう。そして、以前よりも良くなったとは言え、輸入車が日本車よりも”工業製品として割高であること”は共通理解として存在しています。さらに言えば、日本車よりも安いプライスタグを付けたクルマに一定の怪しさと不安と怖さを感じるのも同じく共通した理解感覚だろうと思います。

ここまで読んでいただいた方はお察しのことかと思いますが、クルマよりもプアな生産規模と施設を加味すれば、現在の自転車において台湾2社を下回る価格のプライスが付けられた自転車があるならば、それは何か欠いてはいけない部分のコストを欠いているのでは?と思わざるを得ないわけです。

つまり、工業製品を作るのに大事なことは工場やメーカーの名前や場所ではありません。そもそも、”ものを作る”ことはそういうことではないのだと思います。