乗車フォームを作るには

フィッティングには段階がある
フィッティングというと寸法を変えるというイメージが大きいのかも知れませんが、今のフォームのまんま寸法を変えるのは実は先の段階です。その前に”フォームを学ぶ”必要があります。他のスポーツでも同様だと思いますが、個性を得る前に基本が大事です。

フォームも学ぶとは、ボールをバットに当てるための方法であり、真っ直ぐ飛ばすための方法を学ぶことです。まずはストレートに対応できるようにします。その後、様々な球種に対応できるようにするなど、基本フォームを崩して手数を作り、個性を獲得できるようになるでしょう。

昨日はこんな文面を見ました
「サドルの座り方って誰に教わるでもなく前の方に重心かけて座ってたんだけど、もしや間違ってるのでは…?座骨がサドルに触れ合う感じで後ろ重心ぎみに座ると腹筋がちゃんと使えるし骨盤で回せる(気がする)。しかも最大の利点は股が痛くならない…あれ?私この4年間そもそも座り方が間違ってた?」

実際の乗車姿勢を見ていませんし、存じ上げない方なのですが、結構な高確率で間違っているのではないかと推測できます。この方法はスタンダードではなく、オススメしない方法です。もし男性で筋力がある人なら腰を痛めるでしょう。以前はこんな乗り方もしましたが、それはサドルへのインパクトが大きくそれを回避する為で、人間が自転車を効率よく走らせる為の方法ではありません。

自分にあったフォーム
”自分にあったフォーム”というといかにも個性を発見するイメージでしょうけど、まず基本姿勢と知識を身に着け、個性はあくまでも無意識に滲み出るものなので、明確に別のフォームになる人は稀です。狙いがあればありえますし、鍛えた身体でなら故障も少なくできるでしょうが、なかなか難しいものです。基本フォームとは効率よくバランスの良い力の出し方です。

他のスポーツでのフォームを見たり、出来上がる過程を想像すれば容易いでしょう。自転車で難しいのはボールに当たってなくても、真っ直ぐ飛ばなくても、前には進むこと。裾野は広いけど、そこに満足するとスキルが得にくいかも知れないです。だから、目指すのはPOWERとSPEED、これがものさし。

POWER、SPEED、SKILLは三位一体
上手い人はどっちも持ってていて、そして楽に走っています。楽になるにはPOWERもSPEEDも必要で、それはSKILLを伴って実現されます。どれか一つだけは伸びないんですが、なかなか理解するには時間がかかります。POWERもSPEEDに持たざる場合にラクということは考えにくいでしょう。

しかし、私みたいにストレングスやフィジカルやイメージトレーニングを要求するフィッターの数ってどの程度なんでしょう…。表面的なステム長さとかサドル高だけ変えて、その使い方を説明されてないとしか思えないビフォーアフター画像をよく見ますけどね…つまり、手を置く位置が変わっても、乗り手の意識やイメージは全く変わっていないケースです。これでは基本を知らせぬまま、慰めるだけになってしまいます。

フィッティングとは一歩先を指し示すのではなく、十歩先のイメージを共有するためのものだと思っています。