高回転ペダリングではなく、高トルクを目指す

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現在は2017年にもなるのですが、今もまだ”ケイデンスを上げろ”、”軽いギアを高回転で”と言われ続けるのは、さすがにちょっと放っておけない感じになっています。

まずは高回転ではなく、高トルクを目指して下さい。

ペダリングで出力する数値は車の馬力と同じです。パワーです。パワーはトルクに回転数を掛けたものになりますから、どちらかを大きくする事で掛け算の積は大きくなります。

車で言うなら、エンジンの回転数を上げるのがケイデンスを上げるのと同意です。車を運転する方は、その結果を想像しやすいと思います。スピードが上がれば、シフトチェンジすると思います。自転車でも同じだし何か問題が?と思われますか?

問題はトルクバンドです。

トルクが細い車のエンジン回転数を上げても、パワーが出ず、燃費が悪く、無駄が多くなります。

マニュアルシフトの車を運転する場合、このトルクバンドを理解しておかないと、効率の良い出力を得られず、トルクが切れるので速度が息をつき、また燃費も著しく悪化します。エンジンには、得意な回転域、不得意な回転域があります。乗用車では3000回転を超えるようなことはないかもしれません。AT車だと特にそうでしょう。それらのエンジンは、通常なら3000回転付近を目処に沢山のトルクが発生されるように作られています。理由としては上記の理由がそれに当たります。得意とする回転域をトルクバンドと呼んでいます。得意な所なんですから、そこでの加速力は抜群です。ですから自分の車のトルクバンドを把握しておくことが大事です。

つまり、トルクが細い車ほど、ドライバーはトルクバンドに対してシビアに考えなければいけません。これは人間でも同じなのです。

適正なトルクが得られ、尚且つ(ペダリング)効率が良い回転数を把握してく必要があるわけです。更に言えば、トルクバンドを広くするためにペダリング効率を上げるのであって、”回転数だけ上げる”のではないのです。一般的に一定以上にケイデンスを上げた場合、つまりトルクバンドを越えて高回転にすると、ペダリング効率は大きく下がります。

トルクが有る場合=高効率である場合、アクセルを大きく踏まなくても、つまりエンジンの回転数を大きく上げなくても、ガソリンを多く使用しなくてもスピードを上げたり維持したりすることができます。

どちらが疲れないでしょうか?

ロングライドが目標や目的であれば、目指すべきは高回転ではなく、高トルクであることがご理解いただけましたでしょうか?

パイオニアのペダリングモニターは、このような状況を数値化し、可視化することで、あなたのペダリングの改善点を見出すことができます。

だからこそ、ロングライドでこそ、ペダリングモニターやパワーメーターが役に立つのです。

ロードレースにおいての最終局面では、約1時間ほどであれば高回転を維持し、フィジカルをすり減らして高出力を維持することが可能です。レースの序盤や中盤から高回転で回す選手は千切れますから、そんな人はいません。個人TT程度の時間も高回転を維持できる時間です。しかし、2〜3時間以上も乗り続けるのに高回転を実行すれば、それは維持できませんし、ヘロヘロになるのは当たり前です。

また、ロングライドにおいて登りのシーンになるとギアを極端に落として高回転を実行しても、何れにしろ同じことが待っています。

高トルク技術の先に、そのままのトルクでケイデンスを上げるのが正しい道筋になるでしょう。

いわゆる高回転ペダリングは単にケイデンスの数字だけを上げる行為と理解されていますが、違います。トルクを引き出した状態でケイデンスを上げると、出力が上がるという状態です。

当店のペダリング修正やフォーム改善メニューでは、このように目的に応じて、ロジカルに解析し、理解して頂くようにしています。

当店ではペダリングモニターを使ったアドバイス・コーチングも行なっています。