同じく、理解不能。そして、画期的な動き。

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鈴木真理選手のブログ
http://blitzen.air-nifty.com/shinri/2017/02/post-c2db.html

私も同じく、ここ十年で負った傷は、確かに心からも記憶からも消えない傷になってます。

選手はもっともっと複雑でしょう。その上で故障しても続ける事にはホントに尊敬以外にありません。それを誰かしらが国内は似非プロだと言っても、私は心からプロフェッショナルだと言えます。

清算するのが難しいなら、日本のサイクルロードレースとしての総意を作るべきだと思いますし、その上で今回の様な事が起きたダメージを最小化すべきだと思いますが、常にアンタッチャブルなのが積もり続けるイライラと疑念に拍車をかけます。

過去を知らぬままで楽しんでくれるならそのままで良いと、まさかそう考えるならばサイクルロードレースの文化や歴史など日本で成熟するはずもありません。

真理選手の言うように、やっとのことで少しはピュアになってきた自分やロードレースファンや選手をまたしても蹴落とす事件には、本当に腹立たしく思うばかりです。

世界で唯一のツアー・オブ・ジャパン
リリースを受けて、日本で最も大きなステージレースであるTOJのレースディレクターである栗村修さんはすぐにアクションをしています。

チーム側に”出場辞退”を迫ること、あるいはそれを飲まない場合にはUCIに対して自体の打開を訴える(具体策は明言せずとも)事は、過去にどこの主催者もスポンサーも行わなかった画期的な動きであり、世界初の事だと言うと驚かれるでしょうか。

どのレースも、出場停止期間さえ明ければ、どんなに怪しいチームでさえ招待しています。現在も、です。「声は上げているだろう」と思われるでしょうが、その様な異議は無かったと聞いています。私の感覚では当然の配慮だと思うのですが、欧州の常識においては違うようです。

TOJを持つ日本のロードレース文化は、トップ選手からのドーピング陽性を一度も出していないという特異性を誇りに思うとともに、欧州迎合一辺倒のロードレース文化から独立すべきだとTOJは訴えていると思います。

エマミの件についてUCIからリリースがあったのは日本時間の2/11(土・祝)。そこから間髪入れず土日だからと構わず動き、決定したTOJレースディレクターである栗村修さん、それらを取材されたCyclistさんは流石だと思います。他のメディアではリリースの日本語訳広報をしただけです。

イラン勢とTOJ
イラン勢については、TOJここ数年の課題でした。富士山ステージがあるだけ、彼らに勝ち与え、UCIポイントを差し上げているようなものだ、と。しかし、様々な事情からそれは続いています。TOJ側も努力されています。それらの努力も、懸念も、こういったことですべて吹き飛びます。アジアランキングでは、2014年からカザフスタンを抜いて常にトップです。現在もイランナショナルチームのコーチをされている三浦恭資さんにその心境を伺ってみて頂けないでしょうか。確か昨年か一昨年あたりかに「あいつらは踏ん出るギアが違う」と仰っていたのを記憶しています。

傷と時間の共有
勝利した選手も、負けた選手も、それを讃えるファンも、開催する地元自治体も、全てが傷を負います。

ドーピングは無くなりません。それは事実です。しかし、アスリートの様々な傷みを分かち合うことこそ、彼らを尊敬する唯一の方法だと思います。それはプロでもアマでも境はないと思います。たとえ自分が選手でなくとも、スポーツで感じる感動や心を動かされる瞬間があることとは、そういうことではないでしょうか。

そうであるならば、鈴木真理選手がこれほどまでに痛めている心に少しでも迫ったり、自分ではない第三者の声によって拡めて理解してあげたりすることが、当人も含めた他のアスリートがここ10年に負った傷を癒やすチャンスになるでしょうし、そうあって欲しいと心から願います。それを読んだ時、私達ロードレースファンは10年前から少しずつ前に進む事ができると思います。