東洋フレームの魅力

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代理店さんの展示会を回っていた方が多かった水曜日、私はそれらをキャンセルして「東洋フレーム」のショールームを訪ねました。

取締役社長の石垣 鉄也さんから、様々な想いやお話を聞き、私が自転車に想う気持ちの中で深い所に響いたそんな時間を過ごせました。

場所は渋谷、一般の方でも予約さえすれば、フレームのオーダーから相談まで色々と対応して頂けます。

ホンモノのスチールを求めて
東洋フレームは多くの伝説的なメーカーのフレームをOEM生産してきた、自転車界を支えた裏方ブランドでした。

私が欲しかったリッチーも、スタンプジャンパーも、東洋フレームありきでした。
※この辺りのストーリーには奥深いアレがありますが…

なぜ、彼らが東洋フレームを頼ったのか?といえば、彼らしかその仕事ができなかったからです。

経営者の思い
http://toyoframe.com/about-toyo/think-us/

「リストラしてNCとかマシーン買おうってわけやけど、モノの精度を出すにはヒトが手を入れないとできないのに。 そういうことは全然ダメになったな。」(創業者 石垣 允顕)
私が学生の時、機械科の教授が言っていました。「皆さんは製品を機械が作ると思っている。ロボットが作ると思っている。じゃあ、そのロボットや機械を作るのは誰か?そう、人です。人の手です。機械に機械を作らせると大変。なぜなら、機械は自分がが持つ精度以上のものは作れない。じゃあ、その機械の精度をあげるのは?また人でしょ?最後は”手”なんですよ。決まった作業を沢山させるには機械は向いてる。でも、最後は手仕事です。人間の感覚じゃないと分からない世界が精度を生むんです。」自分の中ではこの言葉とダブりました。

”ハンドメイド”って書くと、それってブランドになってしまうんです。いや、確かにそうしているので、フレームにも書かれていますけれど、「イタリアの職人が一つ一つハンドメイドで」なんて謳い文句と同じ枠に入れられてしまうのが、どうにも私はイヤなのです。

日本の人の感覚
日本屈指のビルダーという表現もありますが、これまでの仕事をみてみますと、いわゆる”ビルダーさん”とは違った雰囲気を感じます。一人の仕事ではなく、コダワリを継承しつつも、柔軟性と革新性をもった”メーカー”としての側面です。

むしろ、競輪業界に通じたビルダーさん達とは一切関わることなく、彼らにすれば”邪道”と言われるかもしれないようなことに見えるかもしれません。しかし、今はどうでしょう。その多くは”以前の仕事ができていない”ことにどれだけの人が気づいているのでしょうか。故に、”名前だけ”になってしまったビルダーさんも幾つか思いつきます。

東洋フレームは創業者から2代目へ、その信念を大事に受け継ぎ、今現在でも大切に技術を扱っていると感じます。

東洋フレームはとても精度に繊細さと正確さを持っているのだと感じました。今や、スチールフレームの素材で良い物は少なく、台湾のパイプはほぼほぼ使えない状態です。レイノルズもパイプの精度がダメ。フォークも全くダメで、精度は出ていません(出せてません)。中国は…全く論外です。でも、いくつかの欧州ブランドスチールを中国にシフトさせようとしているという情報があります…。どうなるんでしょう???たとえ新品で良くても、残留応力に耐え切れず、使用する際の振動等で曲がってきてしまいます。素材の扱いも下手なので、加工硬化を計算できず、しなやかさはなくなります。あるいはグニョグニョか。アメリカブランドが使うようなゴツいものでは、1.5テーパーのヘッドチューブは厚みが3ミリもあるそうです。日本人の感覚では全く受け入れられそうにないのですが、彼らは”気にしない”んだそうです。

つまり、良い素材が手に入らない。手に入れても料理する事ができない。あるいは、素材の善し悪しも分からない。

そういうことを考えますと、自転車と料理はとても似ていると気づきます。分厚く硬い肉を焼きこんでステーキだというか、あるいは肉質にまで時間とコストかけ、繊細な感覚を総動員して”料理する”という民族性の違いです。素材の味がなくなるほどブランドというソースを掛けてしまえば、食べた人も気づかないとでも?

「東洋」というのは、きっと日本であるという意味が多分に含まれているのでしょう。私はMade in Japanということより、Made by Japaneseにこそ意味があるのだろうと思います。

”日本人のための自転車”とは、こういうことだろうと思うんです。

まぁこのような作りに対して、多く売れないとか、かっこ良ければいいとか、名前が大事だとか、色々と表面的な所だけ摘まれるところはありますが、芯を崩さずにやることの大切さを教えていただいた今回のお話は私にとってとても印象に残るものになりました。

あなたも一台どうですか?
ラインナップは様々。乗り手に応じます。
11.5万円〜

私ですか?
もちろん、乗るつもりですよ。

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